Orgとreveal.jsでオンデマンド教材作成

オンデマンド教材の作成

COVD-19対策で講義や演習がリモートになっているため、オンデマンド教材作りをしています。ここでは、その作り方を紹介します。 使っているPCのOSはUbuntu 18.04です。Emacs 26.3を使い、org-mode上で文書を主に作成しています。

  1. Emacsでorg-modeでプレゼンテーションの文書を作成します
  2. 作成した文書は、ox-reveal.elを使い、reveal.jsによるスライド(html文書)に変換します。
  3. 各スライドにつける音声をAudacityを使い録音します。
  4. 音声をスライドにつけるためにはreveal.jsのplugin、Audio slideshowを使います。
  5. ox-revealからAudio slideshowを使えるように、以下をorg文書のヘッダに記述します。

    #+reveal_external_plugins:{ src: '%splugin/audio-slideshow.js', condition: function() { return !!document.body.classList; } }
    #+reveal_init_script: audio:{autoplay: true, prefix: 'audio/', suffix: '.ogg', textToSpeechURL: null, defaultNotes: false, defaultText: false, advance: 0, defaultDuration: 5, defaultAudios: false, playerOpacity: 0.5, playerStyle: 'position: fixed; bottom: 4px; left: 25%; width: 50%; height:75px; z-index: 33;', startAtFragment: false, }
    
    • 設定する項目
      • autoplay: true スライド表示とともに音声を再生
      • prefix: 音声ファイルのあるディレクトリ
      • suffix: 音声ファイルのフォーマット
      • playerStyle: 音声再生のコントローラーの位置や大きさなどを指定
  6. スライド(org文書のセクション)のプロパティで音声ファイルを指定します。

    :REVEAL_EXTRA_ATTR: data-audio-src="audio/lecture.ogg" data-autoslide="17000"
    
    • data-audio-src: 音声ファイル
    • data-autoslide: 次のスライドに切り替わるまでの時間(マイクロ秒)
  7. スライドにつけるビデオを撮影します。
    • コンパクトデジタルカメラで撮影しました。
    • iPhoneなどでもよいでしょう。
  8. ビデオはShotcutで編集します。
    • Shotcut
    • 編集したビデオはmp4形式で保存します。
  9. スライドでビデオファイルを指定します。

    #+reveal_html: <video width="720" height="480" preload="auto" data-audio-controls src="video/lecture.mp4">
    
  10. 作成した文書はhtml文書にExportします。
    • C-c C-e (org-export-dispatch)
    • R (Export to reveal.js HTML Presentation)
    • R (Export current buffer to a reveal.js HTML file)
  11. 変換したhtml文書をWebサーバにアップロードします。

自然科学実験

1年生の自然科学実験を担当。今日のテーマは珪藻の観察である。珪藻は海や川、湖、沼など水のあるところには必ず生息している藻類で、川底の石がぬるぬるしているのはこの珪藻がいるからである。ジンパでお馴染の七輪は、この珪藻の化石である珪藻土が原料である。

珪藻のからだを覆う殻はガラス質でできており、種によってその形はとても変化に富んでいて、種の同定に使われる。

観察に用いた珪藻は北大の工学部横にある大野池から採集したものである。

種を一応同定はしてみたが、専門家ではないので、間違っているかもしれない。

Cymbella_trugidula2s.JPG

Figure 1: Cymbella trugidula

Cymbella_leptoceros_s.JPG

Figure 2: Cymbella leptoceros

基礎生物学実習

理学部生物学科の実習を担当した。今日のテーマはショウジョウバエの唾腺染色体の観察である。ショウジョウバエの幼虫の唾液腺の細胞は他の細胞と異なり、とても大きな染色体を持っている。普通は細胞が二つに分裂すると、核の中にある染色体も複製し、分裂したそれぞれの細胞に等しく分配される。 ところが、この唾液腺細胞は、細胞は分裂せずに染色体だけが複製していく。さらに、複製した染色体は分れることなく密着したままとなる。およそ10回くらい複製を繰り返すので、1000本くらいの染色体が束になっている。普通の細胞の染色体は光学顕微鏡では観察できないほど細く、小さいが、1000本が束になって太くなった唾腺染色体は顕微鏡で容易に観察できる。

染色体標本を作るには、体長数ミリの3齢幼虫を実体顕微鏡で見ながら解剖し、唾腺を取り出さなければならない。この作業がかなり難しい。集中力と少しの慣れが必要だ。

染色体標本がうまくできて、その美しい縞模様を目にしたときの感動は自然科学への畏敬と探究心の源となっている。

DSC_0007r.JPG

Figure 1: キイロショウジョウバエ3齢幼虫の唾腺染色体

英語演習

昨日は「英語で学ぶ生物学」の担当日だった。

生物学の英語の教科書を読みながら、科学英語と生物学を両方を学ぼうという演習で、ひとりずつ読んでは訳していくスタイルだ。

ただ、それではなんだか楽しそうではないので、私の担当する回では、4〜5人のグループで、よくわからないところはグループ内で話し合いながら理解を深めていってもらっている。

それと、訳するときは、返り読みしないようにし、なるべく英語の語順のまま日本語に置き換えていく。ただし、チャンク(句のひとまとまり)は日本語の語順にしてもよい。

なぜ、このような訳し方を練習するのかというと、英語を耳で聞くときは、もちろん英語の語順のまま流れてくるわけで、その語順のまま理解していく必要があるからだ。英語話者は当然、英語の語順で理解しているわけだし。

また、英語は語順のことば、配置のことばといわれているとおり、語順によって意味、内容が表現されている。その点、日本語は語順はかなり自由に動かすことができる。

語順のとおりに訳していく練習が英語の上達に役立つかどうかは知らない。しかし、語順を意識することで文を早く理解でき、文章を早く沢山読めるようになるのではないだろうか。英文を読むときは頭の中でいちいち正しい日本語の文にする必要はなく、読んだ端から理解していけるようになればよい。