北海道大学 大学院 環境科学院 生物圏科学専攻

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EESセミナー開催のお知らせ

講演題目:甲虫の武器が高い栄養応答性を示すメカニズム

講演者:岡田泰和(首都大学東京 理学部 動物生態学研究室 准教授)

日時:2019年(平成31年)4月5日(金)17:00-18:00

場所:北海道大学大学院地球環境科学研究院D棟D103

要旨:

シカやカブトムシの角など,性選択形質の大きな特徴は,体の一部の巨大化である.これに加え,性的な武器や装飾は,その発生・発達の過程で,体の一部が鋭敏に栄養状態に応答するように作られていることも大きな特徴である.性的形質が”個体の質を正しく反映する”という上で栄養応答性の高さは重要であり,種を超えた共通の性選択形質の特徴となっている.本研究では,オスが大アゴを武器として用いるオオツノコクヌストモドキ(Gnatocerus cornutus,以下オオツノ)という甲虫を用いて,栄養応答性の主要なメカニズムのひとつと目されているインスリン経路に注目した.昆虫ではインスリンや受容体をコードする遺伝子は多様化しており,種によって数は異なるが,ほとんどの昆虫は複数のリガンドや受容体を持つ.本講演ではオオツノが持つインスリン経路の主要な遺伝子について,コピー数や配列を整理し,それらの発現解析やRNAiによる機能解析により武器サイズを決める因子を解析した研究を紹介する.インスリン経路は動物では広く保存されている,という見方が一般的だが,経路を構成する個々の遺伝子は多様化が進んでおり,その多様化が性的形質の獲得や多様化を促進した可能性について議論したい.

連絡先:北海道大学大学院地球環境科学研究院 生態遺伝学分野 越川滋行koshi*ees.hokudai.ac.jp(*を半角@に変えてご入力ください)

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