小泉研2021年の振り返り

明けましておめでとうございます。小泉です。
コロナ禍2年目となった2021年も無事に(?)終わりました。

昨年も学会をはじめとした研究者交流が少なくちょっと物足りない一年でしたが、そんな中でも新しい共同研究が始まったり旧友と再会するなど楽しい側面もありました。逆に出張が少なくリモートワークが多かった分、家族とはゆっくりと過ごせてトータルでは良い一年だったと思います。

2022正月

2022年元旦は富士山をバックに貝殻拾い。ママはピンクの貝殻ばかり、小二の娘は色のついたガラスの破片ばかり、4歳になった息子は茶色の石 (笑)ばかり集めていました。2年ぶりに孫たちをじっちゃん・ばっちゃんに会わせることができて良かったです。

 

今年のハイライトを幾つか振り返ってみます。

 

学振パーフェクト

これは驚きました。今年はDC3名PD2名の計5名(OB2名)が学振に申請したのですが、なんと全員採択となりました。ちょうど結果発表の日は1日フルセミナーだったのですが、セミナー最中に「通りました」「通りました」「僕もです」みたいな感じで「マジ?!?!」って感じで異様な盛り上がりを見せました。本当に素晴らしいです。今年度はフォーマットが大きく変わって、業績よりも個々人の能力や動機、将来展望などを重視するようなスタイルになっていました。当研究室はみんな個性的で、それぞれがやりたいことをやっているので、その辺りの自発性やオリジナリティーを評価して貰えたんだと思います。過去には学生の申請書に直接赤入れすることもありましたが、今回は全ての学生に対してコメントしたのみです。なので「ちょっと荒いな〜」とか「あと一息だな〜」という申請書もあったのですが、逆に本人の能力やキャラクターが100%出ていたので、それが良かったのかもしれません(中にはあたかも先生が書いたような申請書もありますし)。学生達は他学部・他大学の同志とも申請書を見せ合って切磋琢磨していました。みんな文章書きや研究計画が格段にレベルアップして、それが結果として表れたことで大きな自信になったと思います。制度の目標(下記)を常に心に留めて大きく羽ばたいてください。

「特別研究員」制度は優れた若手研究者に、その研究生活の初期において、自由な発想のもとに主体的に研究課題等を選びながら研究に専念する機会を与えることにより、我が国の学術研究の将来を担う創造性に富んだ研究者の養成・確保に資することを目的として、大学院博士課程在学者及び大学院博士課程修了者等で、優れた研究能力を有し、大学その他の研究機関で研究に専念することを希望する者を「特別研究員」に採用し、研究奨励金を支給する制度です。日本学術振興会HPから抜粋。採択されて改めてこれを読むとほんと嬉しいんだよな〜。)

 

拾った貝殻

拾った貝殻と茶色の石(右下)

二枚貝

小型の二枚貝だけでもいろんな形や色があって面白いです。貝のことは全く知りませんが、なぜこんなに多様化したのでしょうね???二枚貝なんて砂に潜ってるので色なんかどうでも良さそうなのに。副産物、ドリフト、チューリング?貝殻拾いは安全安心かつ宝探し的要素ものあるのでアウトリーチ(課外実習)で多様性について勉強するのに最適ですね。

 

学生やOB達の活躍

研究室を立ち上げて12年になりました。相変わらず学生も多く研究室としては軌道に乗っていると思います。小泉研でドクターを取得したのも3月末には9人になる予定です。これからは卒業生の活躍で研究室の真価が問われてくるのかな、と思います。研究業績(論文生産)はもちろん大事ですが、それが目標ではなく、それを通して学術界や社会にどう貢献できるかが本質です。そういう意味でも、卒業生がそれぞれの専門性を活かして世界を広げてくれたら価値も波及的に広がると思います。

小泉研の博士取得者は現在ポスドクで武者修行中の人が多いですが、国や地方の研究機関、民間企業に就職して活躍している人達もいます。例えば、学位論文でヤツメウナギの研究をしていたZackは北海道の水産関係(道総研)に就職しましたが、ホタテの養殖に関して行動生態学と水産管理を繋げた非常に面白い研究を提案して、科研費にも申請していました。博士課程在学中は色々と悩みも多かったですが(私も、おそらく本人も)、就職してから大学などのいわゆるアカデミアでなくても、こんな面白い研究を考えて、申請書もこれだけ魅力的に書けるんだ、と彼の順調な成長っぷりに感慨深いものがありました。家族も増えて趣味も満喫して(オープンカーめっちゃ羨ましい!)、とても充実した日々を送っているみたいです。あと、UCLAでポスドクをしているうっちーが生態学会の若手奨励賞(鈴木賞)を受賞したのも大変おめでたいです。コロナ禍で大混乱のアメリカでずっとひたむきに研究を頑張って、その成果が認められた感じです。ほんと良かったです。他にも、ベストフィットなところに就職を決めたOBなどもいて、今後がますます楽しみです。現役学生も負けておらず、着実に論文を出したり、学会で発表賞を受賞したり、学振に採用されたりしています。良い循環が生まれていますね (^^)v

こちらの業績更新お知らせでもOB・現役生の成果などを紹介しています。

 

イシガキフグかな

浜辺にはこんなのも転がっていました。ハリセンボン的な感じ。デカイしトゲの数も少ないし、イシガキフグとかかな?

 

アウトリーチ、メディア、社会貢献

昨年はコロナの不安が残りつつもアウトリーチなど幾つかありました。前回のブログに書いたようなオンライン講演会は新しい形で、場所を気にしないで気軽に開催することができます。ただ、私は聴衆の顔が見えたり会場の空気感といったものが好きなので1対多のオンライン講演会は少し物足りない感も否めません(少人数双方向なら結構良い感じです)。

講演会以外ではテレビや新聞の取材、アウトドアメーカーの相談なども多かった気がします。数年ぶりにテレビにもでましたが、小学生になった子どもが「パパがでてる〜!」って喜んでいました(笑)やっぱりテレビの影響力は大きいですね〜。新聞は北海道の地方新聞で複数の記事に関わらせて頂きました。大手の全国紙ほど読み手に寄る必要はなく、地元の大事なことや記者さん自身の考えを素直に伝えられるのかな〜、という印象を受けました。インタビューから掲載記事に至るまで取材協力した側も納得がいくものが多かったです。今の世の中ネットニュースが主流になっていると思っていましたが、地方新聞は購買率も高く、活字の媒体もまだまだ大事な役割を果たしているんだなと実感しました。学術論文も私が学生の頃と比べてスタイルなどが大きく変わっていますが、「伝える」という部分ではメディアも研究も共通する点が多いので、時代に合わせた変化も含めてメディアの方々との話は大変勉強になります。

また、レッドリスト検討委員会や魚類学会自然保護委員会など幾つかの専門業務もありました。絶滅危惧種を指定するレッドリストはお茶の間ニュースにも流れるほど社会にも浸透してきましたが「こんなプロセスで決まるんだ」とか「この生物ではこんな経緯があったんだ」とか、へぇ〜という部分も多いです。研究をして論文を書くだけだと社会との繋がりを実感することが少ないですが、このような政策に直結する仕事はまた別のやりがいがありますね。

 

何者1

何者?!?!?!こんなタイプ見たことないぞ?口?尖ってる?

何者裏

表から見たらウチワエビ系のやつかな〜と思ったけど、裏返してツメを見るとむしろシャコの仲間的?面白いな〜。 ネットで検索したらすぐ分かりそうだけど、もうちょっと謎解きしてみよう(夕方だったのであまりじっくり観察していません)

 

その他

ちょうど2年前にライフワークにしたいプロジェクトが見つかりましたが、そちらの進捗はボチボチといった感じです。新しいフィールドでデータを取り始めるなど進展もあったのですが、なかなかそっちに舵を振り切れません。。。本当は新入生のテーマも含めて自分が一番やりたいこと、やるべきことに全力を傾けた方が良いのでしょうが、学生の研究(興味)も含めて面白いものが多過ぎて。。。興味が多過ぎて一つのものに集中し切れないのが研究者としての自分の弱点だと思います。いろんな生物でいろんなテーマでいろんな研究手法で研究してきたから、多角的・総合的視点を持つことができましたが、そろそろ統合して新しいものを作っていかないと残りの研究者人生で大きなことを成し遂げられません。多様性と一点集中、自分の研究と学生の研究(研究と教育)、仕事とプライベート、、、etc. 常に変わり続ける環境の中で最適化を目指すしかないですが、ほんとチャレンジングな課題ですよね。嫌いではありませんが(というかむしろ好きかも。でも好きと上手が必ずしも一致するわけではありませんが 笑)。

 

環形動物の巣

砂や小石でできた筒状のもの。ゴカイ系の環形動物の巣かな?川に落ちてたら確実にトビケラの巣っていいますね。収斂ですね。海の無脊椎動物はほとんど知りませんが色々と想像できて面白いです。正月で子どもとゆっくり貝殻拾いしたからこその発見ですね。寄り道重要。今年も寄り道しよう。

 

2022年も多くの新メンバーが入ってきて賑やかなラボになると思います。コロナ次第ですが海外からの留学生・ポスドクも来てくれる予定です。今年度でポスドク相当(?)の優秀な(サブ)メンバーが複数人いなくなるのが残念ですが、残ったメンバーも着実に成長しているので今度は新入生を引っ張ってくれると期待しています。

 

今年もよろしくお願い致します。

 

小泉逸郎

夕焼け富士山