こんにちは。イワナの研究をしている修士2年の植村です。
みなさん、元気してますか?。。。私は暑い夏をなんとか過ごしております。そんな暑すぎる札幌にいながら、一ヶ月ほど前、私は海を超えたアメリカに行ってきました。バーチャルですが笑
オンラインで発表者として国際学会に参加してきた、というわけです。
学会の名前は Ecological and Evolutionary Ethology of Fishes (EEEF) です。
お魚研究ぜんぶ盛りのような名前ですが、きちんと40年以上の歴史もあります。そして、今回は自身にとっては初めての国際学会ということもあって、オンラインと言いつつも一週間くらい前からなんやかんやで緊張していましたが、昨年の夏に実施した「イワナの温度依存競争の野外検証」について発表してきました。
ここでは、EEEF に参加してみて感じたことなどをダラダラと書こうと思います。
忘れないうちに。。。!
国際学会が始まるまで
この学会があるとわかったのは、今年の3月。学会の存在自体は以前から知っていて、参加した研究者から「なんかアットホームな感じ」という印象を聞いており、いつか参加したいと思っていました。なんかギリギリまで現地開催する?とか、しない?とか言ってましたが、4月の段階でオンラインでの開催が決まったので、早速申し込みました。
今回は査読的なものもありました。申し込んで、要旨を Google forms で送って、参加費を振り込んで(ちなみに $25 でした)、しばらく音信不通。。。まあそんなものかと思いつつ、2週間、3週間。。。うーん。。。と思いつつ、公式 Web サイトをみてみると申し込みが延長されている。。。うーん。4月に申し込んで、結局、6月の初めに accept でしたね。
そして、プログラムを見てみると、、、学生が 30 人、研究者(学生以外)が十数人、、、プレナリーの方々が早々に決まっていたのに、発表のデッドラインを何度も延長していたのも何となく理解できました。
この学会に限りませんが、オンラインでの学会開催には、みんなまだ壁を感じているのでしょうか。。。
自身の発表のを振り返って
昨年の学会から(私は)そうなのですが、学会のオンライン実施が当たり前になると、オンサイトと違ってどこか気が抜けてしまいます。現地に行けばよくわからない緊張感や高揚感が湧き出てくるのですが、そんな感情は一気に失せます笑
今回は主催が UC Berkeley だったので、自分が今ごろアメリカにいればなあ。。。なんて思ったり思わなかったり。
しかし、気が抜けても、すぎてゆく時間は変わりません(訳:日本とは 17 時間の時差です。しかも、サマータイム!!)この時差のおかげで完全に生活リズムを崩しました。オンラインだからと完全に たかを括っていましたね。学会は日本時間の真夜中にスタート。自分の発表はなんと AM 3:15 スタートでした。
緊張と時差ボケ?はあったものの、少しは練習したかいもあって(?)発表は時間内におさまりました。
が、、、質問がなかなかこない。。。シーーーン。。。(オンライン発表でのこの静けさはコワイ)
のこり1分になって、質問が早口の英語で流れます。2つあったのですが、一つはなんとか理解できる質問でしたが、もう一つはよくわからず。なんとか英語っぽく答えましたが、途中で時間切れでした。『完全な答えじゃないから、チャットで答えさせてください』この文言をさいご咄嗟に言えただけ少し成長したかもしれません。その後、数人からチャットで簡単な感想をもらうことができました。
自身の発表を振り返って、まず一つでも質問があったことは何よりも嬉しかったですし、(質問内容は置いておいて)自らの研究に対してある程度の自信を持って答えられたことは次につながる貴重な経験になりました。
それにしても、ネイティブの英語は速すぎる!!笑
当たり前のことですが、こればかりは鍛錬あるのみだと痛感しました。
ほかの発表者のようす
これは今回の学会に限らないことかもしれませんが、、、元気よく楽しそうに話すことって大切だなあと特に思いました。しかも、みなさん全然わざとらしくない。そして、何より、研究対象とか研究自体がとても好きなんだなあ。。。って。表情豊かに話しているのを見ると、詳しくない分野の発表でも、あと一つだけみよう、これもみようかな、、、って、つい気になって聞き入ってしまいました(おかげで寝不足になりましたが笑)
さらに、研究の内容に関しても、たとえネガティブデータでも『全然気にしない、なぜネガティブだったのか議論して今後どうするかが大事だよ〜!』みたいに前向きに捉えている方が多かったですね。こういった部分からは、ただ単なる「好き」とは違う、研究に対する「本気度」をひしひしと感じることができました。
このような日本の学会ではあまり見かけないような、彼ら・彼女らのテンションや研究に向き合う姿勢は本当に新鮮でしたし、自身の研究やディスカッションにも、ぜひ積極的に取り入れていきたいと強く感じました。
まわりの参加者を見て思ったこと
まず、全体を見て感じたのは、発表者には「魚好き」が集まっているとはいえど、それぞれ、「行動」、「進化」、「生態」といった興味はハッキリ別れているということです。そのこともあってか、対象種や分類群というよりも分野によって発表者の中での質問(者)もなんとなく別れている印象でした。
そして、発表に対する質問や回答の仕方はスムースでとても活発でした。多くの発表では、発表中にすでに Zoom のチャット欄で質問が出揃い、グループオーガナイザーが発表後に質問をピックアップし、発表者が回答するというのが基本スタイル。そして、3分の QA タイムをオーバーした質問は、次の発表者が発表し終わる前までにグループオーガナイザーがチャット欄に再度入力し、前の発表者が回答するというのも暗黙のルール(マナー?)のようになっていました。
。。。といえども、遠慮も何もなく(いい意味で)、2個くらい前の発表に対して
「@Aさん『あの発表でこう言っていたのは、この論文の議論とはこう違うけど、どう思う?一応、あの論文のリンク貼っとくね?URL:XXX』」
みたいな Deep なメッセージをする方も少なくなく、グループオーガナイザーの方は本当に大変そうでしたね。。。でも、こういうタイプの質問も側から見ている分には面白かったです。イイ意味で国際学会を感じさせない、どこか地元の研究会のようなアットホームな雰囲気で笑
もう一つ面白いなあと思ったのは、発表者として参加していない人もチャットで質問「攻め」していたことですね。特に、質問者の中で3人くらい何度も本質的な質問を繰り出している方がいて「何?一体誰なんだ??」と思ってお名前を検索してみると、なんと3人とも魚はおろか生態学や進化とは程遠い分野を専攻する PhD student でした。彼ら・彼女らの参加の真意は不明ですが、専門外でも広く興味を持ち徹底的に議論できる学生としてレベルの高さにただただ驚いてしまいました。
これに関してはこの学会の発表者の雰囲気とはやや対照的でしたが、数十人程度という少数の参加者のなかにも(特にアメリカの?)学生の層の分厚さを垣間見ることができました。
これから参考にすべき学会のシステム?
今回メインとなった口頭発表は、日本の多くの学会のシステムと同じZoomでしたが、上にも書いたように、チャットや質問の回し方は私がこれまでに参加した学会とは比較できないほど効率が良く、議論としてもかなり盛り上がっていました(学会の時間も延長することなく終わりましたし!)。これは、オーガナイザーの上手な「しきり」と学生の高い参加意欲が同時にあってこそ成り立っていたように思います。
唯一惜しかったのは、この貴重な議論を保存するように設定できなかったことです。Zoom では通常、チャットもレコーディングできるのですが、おそらく未発表データも多くあったり、セキュリティ上の問題があったりで、今回はできませんでした。。。(個別のフィードバックはなかったですが、最終日の学会全体のまとめはよかったです)この辺りをアップデートすれば、さらに理想のオンライン学会発表システムに近づくのかもしれません。
そして、ポスター発表。これは私も初めて見聞きするシステムでしたが、Gather.town というものを利用しました(下図を参照)。2次元の(ド○ラクエ風?)バーチャル空間に、2頭身のかわいいアバターがテクテクと移動します。そして、相手と出会うと会話やチャットができます。ほんと子供心をくすぐられるシステムでしたね。
ポスター発表には1日しか参加できませんでしたが、時間内に十分に色々と見てまわれたし議論もできました。詳しい内容は書きませんが、よくある Web ページに掲載されたポスターをみてテキストでコメントするようなクールな感じではなく、アバター同士で議論できるという点はオンサイトのような一体感がありましたし、その気軽さもあって特に学生同士の交流にはもってこいだと思いました。これも、ぜひ日本の多くの学会でも導入して、ひろまってほしいです。。。(個人的には)
。。。とまあこんな感じです。まとまりなく、すみません。
小泉研では、これまでにも多くの方が海外で発表されブログに書き残されていますが、どれも街の景色とか、発表の様子とか、現地でのお楽しみとか(釣りetc)、、、楽しそうな写真でうめつくされていて、、、羨ましい限りです(ぜひ他の記事も見てみてくださいね〜)
今回の学会は、きれいな写真こそないですが、異なる言語での発表やアグレッシブな質問、新しい発表形式、、、色々と自身の記憶にのこる貴重な経験となりました。それと同時に、研究内容のココを詰めるべきだったとか、もう少し深く議論できたらとか、目立つくらいに自分を売り込むべきだったとか、反省や課題も見つけることができました。そして、何よりこの学会が好きになりました。もちろんさまざまな部分で充実していたというのはありますが、前評判通り、いやそれを越す「アットホーム」な雰囲気がお気に入りです。ぜひ次も参加したいと強く思いました(次の EEEF は 2023 年!)
この経験を通して、一緒に調査し議論してくれた研究室の方々のありがたみと今の研究をカタチにしたいという気持ちがさらに高まりました。今後、もっと面白い研究をして世界に発信できるように、今回のような機会があれば積極的に参加し続けたいですね。オンラインでも、オンサイトでも!!!
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました。
(植村)