こんにちは、小泉です。
お待たせしました調査報告です!(長いので時間のある時にゆっくりどうぞ!)
前のブログではうっちーが都会での調査の大変さについて綴っていました(敢えてフィールドワークとは言わない)。
これを読んでフィールドに憧れを抱いている若者達の夢と希望を壊したら申し訳ないので、本当のフィールドワークについて書いておこうと思います(笑)
何と今年で20年を迎えた(迎えてしまった)オショロコマの個体群動態の定期調査の報告です。このセンサスの通常の模様は「典型的なフィールドワーク?」に書いてあります。
今年は20周年記念なので気合いを入れていろんなデータを取る予定でした。
が。。。
去年の台風により林道が至るところで崩壊してしまい調査コアエリアまで車で行けなくなりました。車でも林道を走って30分〜1時間半かかるので歩いたら大変です。
なので、今年は山の中にテント張ってかなり本格的な調査をする予定でした。
ひとりは電気ショッカーのバッテリー要因として、毎日片道4-5時間を往復してもらおうかと。
が。。。
調査2週間前にヒグマのヤバい情報が入ってしまい。。。
学生連れてこの状況はアウト。自分も妻子持ちの身分になってしまったので無理はできません(>_<)
いろいろ考えた結果。。。
「そうだチャリで行こう!」
こんな時に頼りになるのは地元の人達。たまたま立ち寄ったところで見つけたマウンテンバイクを3台貸してもらい、昔、フィールドステーションとして利用させてもらっていた「私の家」で寝泊まりさせて貰うことになりました。
「私の家」は調査地から一番近いので、かなやま湖畔のバンガロー(最近よく利用)を使うよりも40分ほど時間を節約できます。朝の40分はなかなか大きいです。
何より、十数年ぶりに泊まる「私の家」はほんと懐かしい。持ち主が趣味でいろいろ改修しているので昔よりも大分グレードアップしていました。昔はカメムシの大群やネズミとの格闘はデフォルトで、家の中に巣を作っていたスズメバチが夜中に大量に出てきたり、朝起きたら1.5mのアオダイショウが廊下でシューシュー言ってたり、2階では何者かに補食された鳥の羽が散らばってたり(そもそもなぜ鳥が家の中に???)、家の中で準絶滅危惧種(NT)のエゾクロテンが暴れてたり、助っ人が外で用を足していると大きなヒグマが20m横を走って行ったり。。。
いろんな想い出が甦ってきました。
幸せな気分で眠りについたのですが、案の定ヒグマが夢の中に出てきてくれました。。。
ここで寝るとヒグマの夢を見る頻度が高いです。心の奥底でビビってるんでしょうね。
しかも、クマに対する知識がついてしまったので無駄にリアルな夢を見てしました。◯◯が思いっきりヒグマにバリバリ食べられていました。。。(^^;)
でも夜中に目を覚ましてしまった1番の理由は、寒さ!
6月中旬というのに気温は余裕で一桁。朝は1−2℃まで下がっていて、葉っぱに霜が降りていました。
やはり学生達も寒くて夜中に目を覚ましており、あまり寝られていなったようです。
でも、目覚ましは容赦なく4時に鳴ります。そして教官は容赦なく学生を起こします。
そして時間節約のため朝ご飯も食べず直ぐに出発です。
電気ショッカー、調査道具、食料を背負って、いざマウンテンバイク。
快適なサイクリング!
の予定が。。。
わずか10分で「これはヤバい。。。」「ケツから血が出る。。。」
そう、20kgの荷物を背負って上り坂の砂利道を漕ぐのは想像以上に大変でした。。。
そして、最近、ほとんど自転車に乗っていないのでケツが弱くなっていたのです (>_<)
2m近くの巨人Chrisにとっては自転車が小さくてすごく漕ぎづらそう。
三輪車とは言わないまでも我々が子供用自転車に乗っている感覚か?!
う〜む。。。大変でした。
特に最初は勝手が分からないので見慣れた道もすごく長く感じました。この日の調査はそれほど遠い場所じゃなかったけど、休憩いれて片道2時間近くかかりました。帰りは下りなのでラクでしたが、それでもサドルに座ってるだけでケツが痛いので、ほぼ立ち漕ぎ状態でした。
初日ということもあり、簡単な調査内容にしていたつもりでしたが、なかなか疲れました。それでも18時頃には「私の家」に戻れましたが。
2日目。
大変なところは早く終わらせよう、ということで一番遠い最上流部へ。
昨日の感じから、想像以上に時間がかかるということが分かったのでで、この日は3:30起き。4時だったら「朝」って感じがするけど、3時台はまだ「夜」って感じなので出来れば避けたかった。。。
まぁ、前日は22時過ぎには寝れたので睡眠時間はそれほど短くはありませんが(とは言え、また寒くて夜中に起きてしまう)。
この日は、やっぱり想像通り大変でしたね!
昨日と同じ道を自転車で2時間、さらにそこから徒歩3時間。4時に出発して9時にようやく1地点目を調査することができました。ただ、天気がよくて自然も素晴らしかったのでそこは最高でした。
この日のセンサスは3地点。去年の台風の影響で全体的に魚が少なかったので調査自体は順調に終わりました。
中でも1本の河川(支流)は台風でほぼ壊滅でした。河畔林が吹っ飛んで岩盤が露出して、生息地が大きく変わっていました。魚もかなり少なかったです。
ただ、調査は想定よりも早く終わりましたが、「私の家」に戻ってきたのは19時位だったかな?
例年並みに魚がいたらどうなってたんだろう。。。
この日は自転車、徒歩、調査と15時間ほどショッカーを背負いっぱなしでした。
さすがにちょっと疲れました (^^;)
3日目。
この日も3:30起き。昨日よりは大分ラクだと思ってたのに、かなり大変だった。。。結局、1地点目の調査地まで4時間近くかかりました。楽観視してたのと疲労の蓄積もあり、個人的にはこの日が一番辛かったかな〜
ただ、前半の峠は超えたので先は見えた!
そう言えば、この日は吸血昆虫(ブヨ、カ、ヌカカ)が特にひどかった(下動画)。でも、この吸血昆虫たちはかなり自然の維持に貢献してると思います。これだけ酷いと釣り人も来ないので。ヒグマもある程度同じ役割を担ってると思いますが。
4日目。
中日だったし、雨が結構降ってたので、かなり早めに調査を終え、富良野に買い出しに行きました。ただ、地元の人達へのお礼に美味しいお酒を買おうと走った土居商店が想像以上に遠くて。。。美瑛って富良野の隣だと思ってたらむしろ旭川に近かった。。。無駄に時間と体力を使ってしまった。。。
5−8日目。
後半戦は新たな助っ人が2人来てくれて、順調に終わりました。
後半も3:30-4:00起きでしたが、やはりどの川も全体的に魚が少なく夕方には調査が終わりました。
面白いことに後半になると身体も順応してきて、なんと自転車に乗ってもケツが痛くない!
疲労や痛みが蓄積して悪化する一方だと思ってたけど、なぜか疲れなくなってる。気分的なものもあると思うけど、人の身体って不思議ですね〜
結局、今回の調査ではケツから血が出ませんでした (^^)v
結局、ヒグマも何も問題がなくて良かったです。私の家で見た夢が正夢にならなくて良かった〜
地元の助っ人やたまたま山の中で遭遇したおじさん達はクマと出会っていましたが、特に危険な状況ではなかったようです(後日、私も富良野で会いました)。
でもクマ糞や爪痕は至るところにあって、やっぱりキャンプ調査はしなくて良かったな、と思っています(学生達は最初から乗り気じゃなかったし)。
ただ、来年も林道は直ってなさそうだし、魚が例年並みに回復したら。。。
バイクの免許を取得しようかと少しまじめに考えています。。。
小泉
P.S. 今回は調査の様子などはあまり出していません。魚類の調査法が知りたい方は、去年KDがまとめてくれた素晴らしいブログをどうぞ!