お久しぶりです。小泉です。
ほんと、なが~~~~~い間ご無沙汰でした。近況はまた近いうちに!
来週の魚類学会の市民向けシンポジウムのオーガナイズをしています。
まずは研究室「お知らせ」にある一般向けの簡単な紹介「外来種シンポ主催します!」をどうぞ(←Twitterなどで拡散してもらうために作りました。是非広めて下さい!)。
今回は少し玄人向け(研究者向け)の紹介です。各演者にお願いした理由なども併せて (^^)
今回は“魚類”学会の主催ですが、カエルやザリガニの話も入れさせてもらいました。
主催者としては自分も楽しめるシンポにしたい、出来るだけ多くの人に集まってもらいたい、という理由です。
高校生でも理解できるように各演者にお願いしてあるので、若くて自然や科学に興味がある方、どしどしご参加ください!
見どころは
・最新の研究成果:こんな意外な関係性があったんだ!
・とことん調べる:正確に影響を評価するためには、ここまで調査、実験してるんだ!
・実際の駆除事例:本当に根絶なんて出来るの?どうやって取り尽くすの?
・管理の難しさ:ある人にとっては“居て欲しい”外来種も。どうやって妥協点を見つける?
まず、最初の演者の岸田治さんは生態学会員なら誰もが知っている(はず!)「表現型可塑性」あるいは「食う−食われるの関係」の研究者です。オタマジャクシとサンショウウオを題材に数々の美しい実験をこなしている方です。
数年前に「外来ヒキガエル」の研究を始めると聞いた時に「岸田さんが外来種?!」と意外に思いましたが、指導学生の卒業発表を聞いてビックリ。「なるほど、そんな衝撃的な絶滅(に向かうかもしれない)メカニズムがあるんだ。。。これは緊急の話だし、基礎学問としても興味深い。。。」
さすがだなぁ。。。と感心しました。
まだ未発表データも多いので全ては無理でしょうが、かなり面白い発表をして頂けると思います。
次の演者は西川潮さん。ザリガニの研究者です(最近はため池や水田の研究に力を入れているようです)。潮さんは私が博士課程の時にポスドクとして所属研究室に来てくれて、いろんなことを教えてくれました(&姿をみて学びました)。ニホンザリガニで共同研究ができたのは非常に良かったです。
潮さんは岸田さんと同じく実験的手法を中心としながら、野外でありそうな仮説を厳密に検証していくタイプです。当時、自分は大雑把なフィールドデータしか取ってなかったので「ここまでやるんだ。。。見かけによらず細かい人だな。敵に回したら怖そうだな」などと勝手なことを考えていました(すいません!笑)。でも、特に実験の場合は仮説と検証方法を可能な限り厳密にしないとダメなんだな、と分かりました。
潮さんに言われた「フィールドで幾らデータをとっても仮説は検証できない。実験じゃないと検証できない」は当時の自分にとってはとても衝撃的でした。頑張って反論(反抗?)しましたが、研究をすればするほど痛感することになりました。。。フィールドワーカーは真剣に考えるべき格言だな、と。
あとは、それまでに基礎生態学でスゴイ業績を出していたのに保全に取り組みたいというので、”なぜ?”と聞くと、「増えた減ったの生態学にそろそろ飽きてきちゃったんだよね〜。目標としてたJournalにも載せれたし。今後はもっと社会に直接役に立つことがしたくって」
・・・・
自分にこんなことが言える日は来るんだろうか。カッコいいな〜、と思いました。
今回の講演では、釧路川水系のシラルトロ湖に隔離水界(大きな囲い込み実験区)を作って外来ザリガニの影響を評価した話をして頂けると思います。在来種を直接食べるだけでなく、水草を切り取って生息地を奪ったり、濁度を上げる(水草による浄化作用が低下する)ことで在来種を減らす、という間接的な影響も明らかにしています。
3人目は長谷川コウくん。大学の釣りサークル(釣愛好会)の後輩です。15年以上の長い付き合いです。私が博士課程の時に学部生として研究室に来ましたが、先輩後輩の礼儀がしっかりしているサークルだけに「これから調査行こ」と言ったら「はい」。厳しい(らしい)フィールドもフットワーク軽くついてきてくれました。最後の方は「お願いがあるんやけど。。。」「いつからですか?」とほぼ何も言わなくてもこちらの言いたいことを理解してくれるまでになりました。ほんと感謝しています。ちなみに、釣愛好会から魚の研究のみちに進んだ人も多いです。
彼は今回のシンポの本命(?)外来魚であるブラウントラウトやニジマスの研究をしていました。特にニジマスは釣り人にかなり人気があるため、擁護派と駆除派が衝突することもあるくらい扱いが難しい生き物です。でもコウくんは釣り人上がりで両方の気持ちや意見が分かるので中立な立場から客観的に問題を扱っています。科学論文もいっぱい出しています。本当に仕事が速いので論文の査読など何かお願いする時に非常に助かります。どうやったらあんなにできるんだろう。。。後輩ながら尊敬します。
4人目の工藤智さんは直接お会いしたことはないのですが、外来魚の駆除の実例をお話しして頂けるということで、とても楽しみです。生態調査をしていると、短期間でひとつの個体群をまるまる絶滅させるなんて可能なんだろうか?と感じます。海外では毒を流したりもしていたようですが日本では禁止されているので、どのように駆除を行ったのでしょうか。ここでは我らが必須アイム、電気ショッカーのボート version(?!)そして市民による釣獲で駆除を行っているようです!
最後の講演は、琵琶湖博物館の中井克樹さんです。中井さんは長年外来種問題に関わってこられた方で、現場での諸問題はもちろん、法律などにもとても詳しいです。故中野繁さん(河川生態学の伝説的な方)とも仲良しだったみたいで中野さんのドキュメンタリー『River Webs』で中井さんのことは知りました(名前はもっと以前から知っていましたが実物?を拝見しました)。見た目や語り口から「深い人なんだろうな〜」というのが第一印象です。日頃のお仕事がかなり忙しそうですが、今回は時間を作ってきて頂けるのでいろいろお話できればと考えています。
本当はまだまだ書きたいのですが時間がないのでこの辺で。もし時間取れれば適宜アップデートします。
みなさん、是非ご参加ください!