絶滅危惧種ニホンザリガニのDNAに北日本の歴史が刻まれていた

Koizumi I., Usio N., Kawai T., Azuma N. and Masuda R. (2012) Loss of genetic diversity means loss of geological information: the endangered Japanese crayfish possessed remarkable historical footprints. PLoS ONE, 7, e33986

生物のDNAにはしばしば数千年,数万年というスケールの地史的,古環境的情報が刻み込まれています。本研究は(1)ニホンザリガニが他の生物では見られないほど顕著な遺伝構造(地域固有性)を持つこと,(2)その遺伝構造が津軽海峡の陸橋化や北海道東部の寒冷化など北日本の歴史を強く反映したものであること,(3)これまで一種と考えられていたニホンザリガニに別種レベルに分化した2グループが存在すること,を明らかにしました。本成果は,日本唯一の固有ザリガニに対して歴史遺産としての価値を示すと同時に,現在進行している地域的な絶滅に対して警鐘を鳴らすものです。

本研究は北海道新聞をはじめ様々なメディアで取り上げて頂きました。

より詳細な説明は以下のサイトに記載しています。
http://noah.ees.hokudai.ac.jp/envmi/Itsuro/attachment/crayfish1.pdf

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