ぱらさいとさーべい

こんにちは。今年からD2の中です。
今年もよろしくお願いします。

今日も今日とて寄生虫探しをやっていきます。
とは言ってもどこかのフィールドに出るわけじゃなく実験室で黙々と作業します。

寄生虫は宿主の中に住んでいるので、宿主の魚の体を隅々まで顕微鏡で観察して見つけ出します。
(以下、魚の解剖写真や寄生虫画像があります。苦手な人は注意。)

 

今日はハナカジカの寄生虫を探していきます。
このハナカジカは空知川で採取した後冷凍保存していたものです。(ですので、中にいる寄生虫もすでに死んでいます。)

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宿主を計測・解剖してから、
まずは鰓から見ていきます。

 

… いました。

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どこにいるかわかりましたか?

ここです。

画像2

ピックアップして生物顕微鏡の高い倍率で観察するとこんな姿をしていました。

画像3

単生類という生き物の仲間でサンダイチュウ属の一種です。
(扁形動物門単生綱単後吸盤亜綱サンダイチュウ目サンダイチュウ科)
向かって右の大きな鉤が特徴でこの部分で宿主にがっちりしがみつきます。

画像4 (2)

サンダイチュウの鈎の拡大写真。大きい鈎の周りには小さな鈎がいくつもあります。

一通り終わったら観察している最中に脱落した個体がいないかシャーレの底をくまなく確かめます。
ゴミが多く見づらいですがやっていきます。

 

… … やっぱりいました。画像5

皆さんもぜひ探してみてください。(答えは最後にあります。)

画像10

えっ、見えない?じゃあヒントです。

 

続いて、胃や腸を見ていきます。
胃内容物は個体ごとに違っているので面白いです。

特に寄生虫はいなかったので腸に進みます。

 

線虫を見つけました。
先が丸まっているのと、ぴょこんと突起が確認できます。

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他にも腸の後端部ではとても細い線虫も見つかりました。

 

一通りの観察が終わりました。鰓から始めて腸の終わりまで、このくらいのサイズのハナカジカなら平均30分ちょっとでしょうか。

ですので、今日は10個体やって大体5時間超。
これに加えて、宿主の計測や内臓を摘出する作業、保存に使った袋に寄生虫が落ちていないかの確認等々とあわせて7時間くらいでした。
時間としてはちょっとした野外調査と同じくらいだと思います。

最後に今回見つかった寄生虫を0.5㎜のシープペンシル芯(視野右)と比べてみました。

画像6

 

あまり知られていませんが、私たちがよく目にする魚の中ではこんな小さな寄生虫たちが暮らしています。
今度魚を見るときには、中にどんな寄生虫がいるのか想像してみると楽しいかもしれません。

 

【寄生虫探しの答え】

画像3

(実はもう一匹くらいいるのですが写真映りが悪くよく見えません。心の目で見えた人は寄生虫研究者かも!?)