去年の3月まで当研究室で学振PDをしていた片平君の論文がアクセプトされました!
Katahira H, Yamazaki C, Fukui S, Ayer CG and Koizumi I (2017) Spatial aggregation in small spring-fed tributaries leads to a potential metapopulation structure in a parasitic fish leech. Parasitology Open, 3, e11
当研究室の主要研究対象であるオショロコマに寄生する淡水性のヒル(エゾビル)の個体群構造に関する研究です。多くの寄生虫は宿主1個体が生息環境(生息地パッチ)になるので、典型的なメタ個体群構造をとっていると考えられています。でも、寄生虫の動態を調べるには多くの場合、宿主を殺さないといけなかったり(特に内部寄生虫)、見つけるのや同定が難しかったりするので、実証研究は非常に限られています。
今回の、オショロコマ‐寄生ビルの系では、宿主を殺さなくても簡単に見つけられる、宿主の生態などの情報が豊富に蓄積、オショロコマの定期センサス時に大量のデータが集められる、といった利点があります。本研究では4年間、約40地点から宿主20,000匹、寄生虫1,350匹のデータを解析しています。今回はパターンからメタ個体群構造を推察しているのみですが、遺伝子解析など今後の研究にとって重要な布石です。
論文になるまで少し時間はかかりましたが、その分、良い内容に仕上がっていると思います。空知川から論文が出るのは何より嬉しい。そして小泉研初めての寄生虫の専門誌です!
これを土台としてさらに面白い研究に発展する予定です!