わたしは何度『charr』と言ったのだろう…
こんにちは。D2の植村です。久しぶりの投稿です😇
世界で最もアツい イワナ(charr)の集い『 Internatinal Charr Symposium 2023 』が栃木県日光市で開催されました(5/29-6/2)
今回はそんな国際イワナ学会への参加日記です。少々長めな割に中身が無いですが、お付き合いいただければ幸いです☺️
憧れのひと
さて、そもそもこの学会、前回 2018年大会 に引き継ぎ2021年に開催される予定でしたが、コロナ禍もあって2年越しの待ちに待った開催となりました。楽しみにしていた参加者もそうだと思いますが、運営の方々の決断は非常に難しいものだったと察します。
あらゆる学会やイベントを自粛していたこの3年間、オンラインにすっかり慣れた身体を奮い立たせたのは、開催初日の会場の雰囲気でした。
参加者が受付に並び、一人ひとり順番にネームプレートを首からかけて『久しぶり〜』『誰だっけ??』と談笑する。そして、次々に人が集まってくる。
あ、あの人見たことある!動いてる!生きてる!! これこれ〜これですよ! 足を動かし人が集まり高まる熱気。そして、いよいよ始まります。
大会委員長の山本祥一郎さんの快活なイントロを皮切りに、前川浩司さん(北大・名誉教授)のプレプレナリーを経て、いよいよ憧れのひと カート・ファウシュ(Dr. Kurt Fausch)さん(注1)のプレナリーです。
タイトルは『 The past, present, and a future for charr in Japan 』ゆっくりと落ち着いた声で、日本のイワナ物語が始まりました。
まずは、数十年前の若かりし中野繁さんをはじめとする『イワナ組』の皆さんが登場し、その馴れ初め。そして、今回のプレナリーはそんなレジェンドたちの過去の研究を踏襲するような感じで進められ、あっという間の1時間でした。
系統地理、保全、生活史、個体群、外来種、群集、生態系機能、寄生虫…イワナ1つでここまでいろいろな研究が展開できるものか…と改めて感動しました。そして、イワナを巡る日本の研究者たちのストーリーは日本はたまた世界の生態学にも大きなインパクトを与えてきたのだと実感しました。素晴らしいプレナリーをありがとうございました。
そんなこんなで、あっという間に1日目が終了。
講演のあと、ファウシュさんと少し話す時間をいただき、彼の本『 For the Love of Rivers -A Scientist’s Journey- 』を読んで感動した話、自身の研究の話などなど一方的にダーッと話してしまいました(大変失礼いたしました)それでも、寛大なファウシュさん『OK。また、話そう。君はこの学会の最後の方まで参加するのかな?じゃ、またね。』と優しく言って会場を後にしました。
日光を楽しむ
2日目。
1日目の興奮冷めあらぬというか、ほぼ寝れず…笑
毎日、毎度興味深いテーマの発表が予定されていたので、今から考えれば、ずっと会場に居てもよかったのです。
しかし…まあ、せっかくなので観光したい…!!と思ってしまいました。
というのも、毎日、会場(日光東照宮の真横!)まで行く途中に、平日にもかかわらず恐ろしい数の観光客とすれ違うのです。たしかに、世界遺産だし、日光を学会だけで過ごすのはなんとなく勿体ないと思っていました。それと日光東照宮の周辺には川とか森が思った以上にたくさんあり、そんな景色のなか散策したいなとも…
そういうわけで、散策スタート。
会場の横道から1kmくらい坂を登ります。苔むしたワイルドな道をスニーカーで歩くとなかなかにキツイですね笑
20分くらい歩いて、いい感じの滝が見えてきたので、魚止めとともに終了です。天気も相まって気持ちの良いプチ登山でした!
元来た道を戻って、次は東照宮です(写真でふりかえります)
おとなりの輪王寺(風神像、雷神像)も気になったのですが、昼からのセッションもあるので、ここで観光終了!!
とても濃い〜 “自由時間” となりました。
We Love Charr!!!
今回の学会、とても長い時間をかけて準備されたんだなぁ…とそのホスピタリティを感じさせられたのが、2日目のバンケットです。
学会のバンケットって、ホテルで立食かなぁ〜くらいに想像していた自分が恥ずかしくなりました。
場所は日光金谷ホテル。皇室御用達の最高級ホテルのひとつ。赤い絨毯。ビビりましたね。
しかし、さすが?イワナ研究者。Tシャツに半パンで会場へズカズカと入ります笑
まぁ、それはさておき、このオシャレな料理の数々に圧倒されていると…
『 ここで、琴と尺八による演奏が始まります 』
マジですか…
至れり尽くせり。フレンチをいただきながら、和楽器演奏。舌と耳が幸せでした。
その後、さらに…
『 ここからは、和太鼓による演奏です 』
ここまで、するか!!!さすがとしか言いようがありません。
演奏者の方が
『 みなさんも一緒に掛け声をお願いします!』
『 ワッショイ!ワッショイ!We Love Charr!!Say!! 』
ライブのようにノリノリで『 We Love Charr!!! 』と叫んでしまいましたが、そのおかげで回ってきていたパンのおかわりを逃しました😅
最高のおもてなしでした。
発表の日
昨夜のバンケットの熱が冷めあらぬまま、3日目もあっという間に終わり、そして、自身の発表当日。
私は夕方からの発表でした(小泉研の発表者で一番さいご!)。午前中にもイワナの模様に関する発表など興味深いものが多くありましたが、午後からも寄生虫や群集と本会の中でも特にユニークなトピックになっていきました。
今回の自身の発表は昨年の夏に実施した野外実験についてで、修士課程のときの野外調査で見つけたパターンのメカニズム(仮説)を検証するものでした。興奮しっぱなしの私は、いつも以上に早口で発表してしまいました。
発表のあと、発表内容に関していろいろと聞くべく、ファウシュさんのところに行きました。すると、
『 素晴らしい発表をありがとう 』『 ただ、君の英語は早すぎて、なかなかに難しい内容だった 』
『 会場には色々な分野のひと、年齢のひと、立場のひとがいる。その人に内容を効果的に伝えるのは難しいことだけれど、少なくとももう少しうまく伝えられれば、より深い議論ができると思う 』
と、おっしゃってくださいました。
緊張が解けすぎて、自分だけの世界に入り込みすぎてしまうと、木を見て森を見ず…自己満足な発表になってしまうなぁと改めて感じさせられました。ファウシュさんの言葉は本当にありがたい限りでした。
その後も、何名か日本人研究者と研究や発表内容に関して議論できました(そして、久々の名刺交換!)。
生でしっかりと話し合う良さを改めて噛みしめつつ、学会を終えることができました。
さいごに
今回の学会は単純に 充実 という一言では言い表せないくらい濃密で素晴らしいものでした。
そんな時間を過ごせたのは、実行委員の方々の入念な準備と完璧なスケジューリングあってこそだとも思います。本当にありがとうございました。
そして、気さくに議論も変な話も?(笑)腹を割って話してくださった各国の研究者の方々、ありがとうございました。
また、特に同世代の研究者(国内・海外)の存在を知ることができたことは大変な収穫で、その研究レベルの高さも相まって非常に刺激的でした。
次回のイワナ学会、きっと海外だと思いますが、ぜひとも参加したいと思います!!!
長文 & 駄文、失礼しました〜
(注1)カート・ファウシュさんは、中野繁さんをはじめとする多くの日本の生態学者と共同研究を続けてこられた方です。ファウシュさんの研究はわたしの研究の礎であり、彼の論文の書き方に感動し、彼の本『 For the Love of Rivers -A Scientist’s Journey- 』を読み、フィールドワーカーとして研究者として、いつしか強く憧れを抱くようになっていました。興味のある方は こちらの記事 もどうぞ。
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