道南サルミンコーラ調査(人形虫・ナガクビムシ)

こんにちは、M1の長谷川です。
今回は、先日行ってきた初めての野外調査の様子を簡単に報告します。

何の生き物の調査かというと、こちらのイワナ!

かっこいいですね

かっこいいですね

・・・ではなくイワナの口の中に寄生するサルミンコーラ属(ヤマメナガクビムシ属)という
グループの寄生虫です。虫といってもプランクトンであるカイアシ類の仲間です。
※以下写真。寄生虫などが苦手な方は注意!

口の中にくっついている白い米粒みたいなのがサルミンコーラです。

口の中にくっついている白い米粒みたいなのがサルミンコーラです。

雌は中央の胴体に二つの大きな卵塊をつけており、人の姿のように見えるので、
一部の人は、「ヒトガタムシ(人形虫)」と呼んでいるようです。

サルミンコーラ属は北半球に広く分布しており、主にサケ科魚類のエラや口腔内に寄生しています。
宿主特異性(決まった分類群・種の生物にしか寄生しない性質)が強く、例えば僕が主な対象としている
Salmincola carpionis(イワナナガクビムシ)はイワナ属というグループの
主に”口の中”に寄生します。なぜ口の中なのかは全くわかっていません。

彼らは養殖場などで大量発生し、漁業者を困らせる厄介者なので、水産面からの研究は行われていますが、
野外での生態学的な研究はほとんど行われていません。
(でも最近海外でちょっとずつやられてきている。これとかこれとか)。

そしていくつかの先行研究で、サルミンコーラの寄生は、宿主である魚に大きな影響を与えていることが示唆されています。

僕は大学3年の時に運よく?この寄生虫に巡り会うことができました。
当初は正直寄生虫には全く興味がありませんでしたが(笑)、
いざ自分が取ったデータを解析してみると見事にこの寄生虫にハマってしまいました。

「絶対面白いのになんで全然研究されていないんだ? 自分の手でこいつの研究がしたい!」
と思い、気づいたら小泉研に来ていました(笑)

というわけで、前置きが長くなってしまいましたが、待ちに待った調査です。
遠足前日の小学生さながら、調査前日は全然寝れませんでした(笑)。

ざっくり説明すると、道南の一水系の様々な地点でイワナを採集し、
サルミンコーラがどの程度生息しているのかチェックするという調査内容です。
調査前にいくつか仮説を立てて、仮説に沿った条件の支流で調査を行いました。

採集地点までは20kgの電気ショッカーなどを背負いながら林道を歩くのでまあまあハードですが、
こんな美しい景色に出会うとそんな苦労も忘れてしまいます・・

癒される。。

癒される。。

何とも夏っぽい景色です

何とも夏っぽい景色です

5泊6日の調査中は、基本晴天と非常に恵まれた天気の中で行うことができました。
初日は慣れないことも多少疲れを感じていましたが、少しずつデータが溜まっていくにつれて、
疲れはどこかへ消えてしまいました。きっと夢中になってアドレナリンが出まくっていたのでしょう(笑)。

いや〜楽しかった。あっという間の6日間でした。
経験豊富なお二人の先輩に手伝っていただいたおかげで、
スムーズに調査を進めることができました。とても感謝しています。

そして、今はちょうど机の上でデータとにらめっこしています。
(解析に飽きたのでブログを書いています!笑)
なかなかにおもしろそうな結果が出ていそうで、これからの研究のことを考えると楽しみです!!

※もちろん調査は特別な許可を得て行なっています。

長谷川稜太