お久しぶりです、D4の渥美です。
海外学振に合格し、来年度よりアメリカのTexas A&M大学での2年間のポスドク生活を学振が支援してくださることになりました!!!
さて先日東京にて、国際共同研究の科研費を得た、あるいは海外での学振研究員に採用された全学術分野の研究者向けに、ワークショップが開かれました。それがLEADSNETです。このLEADSには、海外での武者修行を通じて日本ひいては世界を引っ張る研究者になれ、との意味を込めたのだそうです。恐悦至極、その願いに沿えるよう頑張ります。
ワークショップの目的は、海外研究生活での役立ち情報交換や、分野をまたいだ研究者同士のネットワークづくりなど。正直なところ、超分野横断型である分、それが自分にとってどれくらいためになるのかわからないまま出席しました。出席者名簿を見たら、80名の参加者のうち生態学・進化生物学系は3人くらい。学生も3人くらいで、他はポスドク・助教・准教授さらには教授まで!場違いじゃんマジで…
羽田空港で博士論文の修正をセカセカ進めていざ出発!
早速、網目のような東京の乗り換えを間違え、キャリーバッグをガタゴト走らせて会場のホテルに超ギリギリで到着する羽目に。
なんと皆さん割とスーツをキメていらっしゃる。僕は柄物Tシャツにカーディガン。マジのマジで場違いじゃん…と思いながら始まったワークショップ。
しかし、ワークショップは本当に素晴らしいものでした。
まず、世界を股にかけて活躍する宇宙物理学者・村山斉さんによる海外経験の活かし方&楽しみ方のプレゼン。熱い!要約すると、
明るく前向きな雰囲気を楽しめ…これは小泉研もそうですね
怖気づくな、目立て ― 雄弁は銀なり 雄弁はプラチナなり
信頼されるメンバーとして海外の研究者ネットワークに入り込め
若輩を盛り立ててくれる文化を利用しろ - Arrogant youthであれ
さくっと面白い説明を常に心がけよ(Elevator pitch)
学会発表とかだったら、2枚目でオチを言っても良いらしいです、確かに。
分野同士を繋げよ
彼が創設に携わった東大カブリ研には、多分野の様々な国籍の研究者を引き合わせる色んな仕掛けがあるようです。
次に学振の方による研究費動向や今後の方向性についての説明。
これまでメール画面の向こうにしかいなかった学振の方々のお話を直接聞けたのはとても良かったです。わかったのは、彼/彼女らは研究者をとても大切にしてくれているということ、学術界での日本のプレゼンスの低下を憂い海外との繋がりを強化しようとしていることでした。ありがてえ。
研究者個々人による自由な研究を担保してくださる学振は世界的にもとても貴重な組織だと、様々な海外研究者と話す中で思ってきました。欧米では研究室の巨額プロジェクトに学生・ポスドクが雇われて研究が進みます。まだ封建制の雰囲気が残っている日本でそんなことやったらラボ畜が製造され続けるだけでしょう。高齢化に伴う福祉で国庫が圧迫されている中で、学振は予算を確保し続けています。それを支えてくださる方々に本当に頭が下がります。
その後は小テーブルに分かれての話し合い。最初のテーブルは渡航地域別のアイスブレイクのようなもの。渡航先毎で生活や研究面での役立ち情報が交換され、とても役立ちました。次のテーブルは、分野別の話し合い。ネットワーク作り用ですね。純粋に研究話を楽しみました。
翌日はいよいよテーマ別の意見交換。
僕が参加したのは、「研究者ネットワークの作り方」と「共同研究者・渡航先機関・所属機関との対応方法」。起爆剤となるプレゼンの発表者とモデレーターのリードのもとで参加者が成功例や苦労を赤裸々に共有しあいます。発言が多い活発なワークショップでした。こちらも格言が続出します!
要約すると、
お客さんになるな、渡航先に雇われるつもりで信頼関係を築け
研究者以外とのネットワークも家族のためにも大切にせよ
家族の幸せなしに良い研究はできない(これほんとに格言)
多少のハプニングや不都合はむしろ楽しめ
メキシコでの野外調査が控えている僕には素晴らしい教訓です
手続きは日本のように公平ではない
名前を覚える、軽い手土産(抹茶チョコetc)を持っていくなどして
事務方を懐柔せよ、ボスの名前を使って事務方を脅せ、
…いま既にTexas A&Mの信じられないくらい遅い事務手続きに辟易中
参加者の皆さんが惜しげもなく、自身の失敗からの学びやノウハウを教えてくださいました。特に生活の知恵関連で学ぶことはとても多かったです。やっぱそうだよな、という事でも、世界を股にかけて活躍してきた/しようとしている人たちとそういった意識を共有できたのはとても良いことでした。
数少ない20代だったからか、会期中を通じて先輩研究者からの熱い励ましを沢山いただき、初ポスドクに向けてさらに勇気がでました。中堅・ベテランになっても先輩方のようなアツさを保っていたいですね!
改めて、素晴らしい機会を設けてくださった皆様に感謝します。機会があったら是非参加してみてください、想像よりもはるかに有意義な会でした。
渥美圭佑