本州訪問―おいしい魚、アユを求めて

こんにちは。

D1の島本です。ほんとうにお久しぶりです。

 

突然ですが、実は先日、栃木県の中央水産研究所、群馬県の群馬水産試験場、そして山梨県の山梨水産技術センターの3か所にお邪魔させてもらって、これからの研究についての話を聴いていただきました。

今回は、その研究についての少しだけご紹介したいと思います。

 

中央水研は中禅寺湖のほとりにあります。標高が高いため思っていたより寒く、うっすら雪が積もっていました。

中央水研の日光庁舎は中禅寺湖のほとりにあります。標高が高いため思っていたより寒く、うっすらと雪が積もっていました。

 

来年度からは、養殖が魚に与える影響を、脳と認知機能に注目して研究したいと考えております。

 

これまでに、養殖または家畜化に伴って、脳の大きさが小さくなることが報告されてきました。この現象は哺乳類、鳥類などの多様な分類群のさまざまな種で見つかっており、サケ科などの養殖魚においても報告されています。

脳という器官は、よい餌を見つけ出したりであったり、天敵から身を隠したり、よい繁殖相手を見つけたりと、生物が生きる上で重要な機能をたくさん持っています。より大きな脳を持つ個体はそれだけ高い認知能力(周りから得た情報を処理する能力)を持つと考えられ、生存にも有利であると予想できます。しかし、養殖による影響について脳と認知能力を直接結びつけて行なわれた研究はまだ驚くほど少ないです。

 

このような、養殖が脳と認知能力に与える影響について、主にアユを使って研究したいと考えています。

アユは河川と海(または湖)を行き来する、特徴的な生態を持つ魚です。秋から冬にかけて、川底に産み付けられた卵から孵った稚魚は、すぐに川の流れに乗って海に下ります。海に下った小さな稚魚は春にかけて動物プランクトンなどを食べて成長します。ある程度成長したあと、アユたちは河川を遡上していきます。川に上ったアユたちは、夏にかけて川底の石などに生えている藻類を食べながら成長したあと、繁殖を行ないます。

また、ご存知の方も多いかと思いますが、アユはいわゆる縄張り行動をとる魚です。この縄張りは、餌である川底の藻類を防衛するためのもので、縄張りに侵入してきた他個体に対して、縄張りの保持者は激しく攻撃を加えます。この特徴的な習性を利用して行なわれるのが「友釣り」で、夏の風物詩にもなっています。

アユは、内水面漁業・養殖業においてウナギに次ぐ重要魚種です。さらに、ダムなどによって天然遡上する個体が減少する中、遊漁目的として養殖アユがたくさん放流されています。

以上のようにアユは、実際に食材として、釣りの対象魚として産業的にも非常に重要であり、その特徴的な生態から、研究対象としてもおもしろい魚種であると言えます。

 

来年度は、養殖がアユの脳と、なわばり形成等の行動に及ぼす影響を、実際に脳の大きさと形態を測定することに加えて、行動実験によって明らかにしたいと考えております。

さらに、山梨水産技術センターでは、来年度に新しい代の種苗を導入されるようです。養殖の影響について継代数を追って見られるので、タイミングがよく、研究的にも「おいしい」話になると思います。

これから行なう研究が、アユのよりよい種苗生産にも繋がればいいなあと思っています。

 

しばらく札幌を離れて研究することになりますが、思い切り楽しみながら頑張ります。

それではこのへんで。

 

島本