ど~も。乃美です。
早いもので小泉研に修士で入ってからもう5年間たちました。
前回でカラ類は終わりと書いたのにまたカラ類で書くことにしたのは、まだ紹介すべきネタが残っていたからです。
今回は捕食者に対する行動です。
捕食関係といえば、だいぶ前の回に抱卵中の雌の警戒行動の話をしましたが、これは巣の中にいるときの警戒行動で、外にいるときはこのような声は出しません。
4年前の調査中にたまたまヘビが巣を襲い、その時の親の警戒声を記録できたのでアップしました。
これが有名な?シジュウカラの”jar”call です。普段シジュウカラを見ていてもまず聞くとのない声です。
僕がリスペクトしてやまない(笑)鈴木俊貴さんの研究では、カラスのときはチカチカ、ヘビのときはジャーという声を親鳥が出し、その声によって雛が異なる行動をするというものでした。
とはいえ僕がこの動画を撮ったときは、雛はまだ3日目で羽はおろか目も開いてないような状況なので、あくまで親鳥としてはヘビを追い払うために声を出していると考えられます。
僕が不思議に思ったのは、苫小牧の研究林ではほとんどヘビに巣がやられることはないにもかかわわず親鳥がこのような声を出していたことです。
実際、6年間の調査でヘビに巣がやられたのはこれも含めてたったの2巣でした。なのでかなり奇跡的に撮れた映像なんです(ブログというかyoutubeに出してよかったのか?笑)。
本州で調査を行っている人からは半分近くの巣がやられると聞いたので、ヘビによる捕食は繁殖成功を左右する重要なファクターといえ、親鳥が経験的に身につけた行動とも考えられます。
苫小牧ではヘビの捕食がまれであることを考えるとおそらく学習というよりはじめて見てもその声を出せる遺伝的なものなのでしょう。
他のカラ類でも似たような声を出すのか気になったので、試しに見つけたシマヘビを透明なケースにいれて巣のそばにおいてみましたが(笑)、はやり似たようなジャーに近い声を出していました。
こうなるともしかしたら、カラ類以外でも出しているんじゃないかと思えてきます。
他にもテンによる捕食など脅威になる動物は沢山いるのに、なぜこの特異的な行動を取るのか不思議です。
人でも生まれつきヘビを怖がる遺伝子が存在するという話を聞いたことがありますが、それと似た何かでしょうか?
今後の研究に期待したいです。