今年の春までポスドクとして在籍していた池田くんの論文がPLoS ONEに掲載されました。北海道を代表する哺乳類8種の活動時間帯を詳細に突き止めたものです。彼のメインの研究であるエゾシカの生態データを取るために、支笏湖近辺に設置していた自動撮影カメラのデータを再分析したものです。
のべ30台の赤外線カメラには2年間で合計13,279枚の哺乳類の写真が記録されていました。これにより、エゾシカ、ヒグマ、キタキツネ、エゾタヌキ、ユキウサギ、エゾリス、ホンドテン(国内移入種)、アライグマ(外来種)の活動時間帯が明らかになりました。ユキウサギは完全に暗い時間帯のみ活動していたり、キタキツネは一日中動いていたり、ヒグマは一日中活動するものの朝方や夕方(薄明薄暮)がやや撮影頻度が高いなど、フィールでみる直感そのままで感動しました!
さらに、エゾシカは普段は薄明薄暮が一番活動していますが冬場には日中の活動割合が高くなることや、ユキウサギも夜行性と薄明薄暮を切り替えるなど、幾つかの種では季節によって活動時間帯を変化させていることも明らかとなりました。
本研究は、はじめ池田君と内田君がエゾリスのデータを解析するといって見せてくれたものですが、全データを見てビックリ。これは全種まとめて報告だろう!と今回の論文に至りました。統計や下手な考察は要らない、結果が全てを語りかけてくれるような研究だと思いました。で、思いきって一切統計なして投稿したら思いっきりレフリーに突っ込まれましたが。。。(^^;) 個人的には無理矢理な分析なんか必要ないと思っています。
ひとつの地点で複数種、かつこれほど長期にわたって日周活動性やその季節変化を調べた研究はないので、今後、いろんな研究者が本論文を引用してくれるものと期待しています。
グラフを眺めるだけで色んな妄想ができてとても楽しいので是非ご覧あれ!