D2の内田くんの2本目の論文がMammal Studyに受理されました。エゾリスなど樹上性動物の警戒心を測る簡便な指標を提案しました。
Uchida K, Suzuki K, Shimamoto T, Yanagawa H and Koizumi I (2017) Escaping height in a tree represents a potential indicator of fearfulness in arboreal squirrels. Mammal Study, 42, 39-43
これまで野生動物の警戒心を測る指標として、人が近づいてから逃げるまでの距離(FID: Flight Initiation DIstance)が広く用いられてきました。しかし、この指標は草原や海岸など見晴らしの良い生息地では有効ですが、森林など遠くから対象動物を発見できない場合は使えませんでした。
そこで内田君のフィールドでの感覚から『エゾリスは木の上に逃げてある程度の高さで止まるので、その止まった距離が警戒心を反映しているのではないか』と考えました。この新指標は「木の上に逃げた高さ」ということで VED (Vertical Escape Distance) と名付けました。実際、VEDとFIDには正の相関が見られ、新指標が警戒心を反映していることが示唆されました。VEDの優れているところはデータの取りやすさで、FIDよりも2倍以上多くの個体のデータを収集することができました。
VEDはエゾリスだけでなく、木を利用する鳥やトカゲなど幾つかの生物にも応用出来るんじゃないかと考えています。
フィールドから着想を得たうっちーらしい研究ですね。
またフィールドでの新しい発見を期待しています!
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