2015年を振り返りつつ2016年の目標

こんにちは、小泉です。

毎年のことですが1-2月は怒濤のように過ぎ去っていきますね。白髪が3%ほど増えた気がします。。。

 

新年早々書こうと思っていた「去年の反省&新年の抱負」が今になってしまいました。

今回は結構赤裸々に書こうと思います。いつもブログは控えめに書いているのですが、見る方としては少し生々しい方が面白いですもんね (^^)

 

まず、去年初めに立てた2015年の目標

1.原著論文:10本アクセプト、うち2-3本は専門分野(生態、進化、行動)のトップジャーナル。PD & 学生の論文増産。筆頭 or 責任著者3-4本投稿。

2.サクラマス回遊多型プロジェクト:論文投稿、新しい実験、生理学的解析

3.骨プロジェクト:論文になりそうなデータを得る

4.大きめの研究費申請

5.研究室の方向性をより明確に

6.研究室メンバーのレベルアップ:深い議論、レベルの高い研究

7.国際化

 

では、それぞれの達成度は???

1.原著論文・・・60点

残念ながらアクセプトは目標の半分の5本のみ。。。トップジャーナルはゼロ。。。

ただ、救いなのは投稿中は10本ほどあり、トップジャーナルも2本ほど引っ掛かっています。最近は生態関係でも有力誌に出すのは非常に難しいので、好評価が得られているだけでも嬉しいことです。(追記:こちらこちらです)

あとプラスの点はPD、学生の論文が増えてきたこと。分類群を越えたGeneralな雑誌ではないですが、魚類学、鳥類学、哺乳類学の中ではそれぞれトップクラス、あるいは定評のある国際誌に受理されました。修士や博士初期の研究がこれくらいになれば合格点と言えるでしょうか。論文にするという雰囲気がようやく研究室全体に浸透してきました。

個人的には、魚類だけはなく、フクロウ、シジュウカラ、エゾリスといった多様な動物の生態研究が1つの研究室から発表されたのは嬉しいことです。

ちなみに、筆頭 or 責任著者4本投稿は一応クリア。

 

2.サクラマス回遊多型プロジェクト・・・90点

科研費を貰っているテーマ。2014年の生態学会で「遺伝子から生態系間相互作用まで:これからの河川生態学を探る!」でキックオフシンポを行った内容です。

高得点の最初の理由は、論文を投稿して良い感じに進んでいること。これは近々報告ができるかな(追記:こちらです)。

次は、次世代シーケンサーを使った解析。今回の解析自体はあまり良い結果が得られなかったのですが、共同研究者と今後の研究について非常に有意義なディスカッションができました。今後5年間の方向性が確定した大きな出来事です。

3番目は室内実験。これは大久保君の修士研究で、投稿中の理論研究を実験で確かめたものです。論文になるクオリティーのデータは得られませんでしたが、実験手法が確立でき、良好な予備結果が得られました。この結果を基に現在、より洗練されたデザインで実験を始めています。今年の結果が楽しみ!

最後の生理学的解析。これは実際難しそう。。。といった感じに終わってしまいました。でも、これまで生理学的な研究を行ったことがなかったのでいろいろと勉強になりました(大久保ありがとう)。生理学が少し身近なものになり少しずつイメージできるようになりました。将来的には確実にプラスになるはず!

 

3.骨プロジェクト・・・70点

自分の中では満足度が高いです。あくまで予備的ですが非常に興味深いデータが得られました。論文化はまだ先になりそうですが、本プロジェクトに関する解説記事が出たことは嬉しいです。また、このテーマで研究費を申請したのですが、この段階で妄想的なアイデアがより現実に近づきました。今までの研究の中で一番学際的で、一番オリジナリティーが高い研究です。上手くいかない可能性もあるけど、夢がある。まさに萌芽的な研究です。

 

4.大きめの科研費申請・・・0点

恥ずかしながら申請書が書けませんでした。。。漠然としたアイデアはあったのですが、勉強をする時間もとれず現実まで落とし込めなかった (>_<) 科研費は主要な研究費のひとつなのにこれが提出できなかったのは致命的? 自分でも驚きました。今年は貧乏研究室になるかもしれないので、大勢の学生達を食わせて行くためにコツコツと助成金を申請していかないと。。。(T_T)

ただ、上にも少し述べた次世代シーケンサー関連の研究で目の前が一気に開けました。今年は方向性が決まったので数日あれば魅力的な申請書が書けるかな。

 

5.研究室の方向性を明確に・・・70点

これまでは、学生の要望に合わせてフィールドベースで好きな動物の研究をさせる、といった非常に大雑把な方向性でした(方向性と言えるのか???)。共通点はフィールドでしっかりとデータを取るということくらい。この多様性は当研究室の売りのひとつになっていると思います。

ただ、世界で第一線かと問われると、やはり全然足りていません。自由なのはいいけど、核になる研究が欲しい。

自分の研究室を立ち上げて6年間、ずっとそのようなテーマを模索してきましたが、今年は少し見えてきました。

新しく入ってくる学生にはちょっと申し訳ないですが、ここ5年間は少しテーマを絞っていこうと考えています。これまでは学生のやりたいことを重視してきましたが、今後は方針を少し変える予定です(研究室見学が本格化し始める前には「院生/ポスドク希望者へ」をアップします)。ただ、それでも比較的間口は広い方だと思いますし、アドバイスできることもあると思うので、今まで通り気楽に研究室訪問などに来て頂ければと思います。

 

6.研究室のメンバーのレベルアップ・・・50点

正直まだまだ足りない、というのが本音です。全員がセミナーで気楽に質問するのはいいけど、単なる内容の確認だったり、本質とは直接関係がないマイナーな質問が多い。もっと発表者がたじたじとなるようなクリティカルな指摘が欲しい。

確かに、研究対象生物や研究テーマがバラバラなので専門的なコメントができないのは仕方ないけど、どんな分野に対しても切り込んでいける位の本質を捉える力が欲しい。むしろ、これは研究室のメンバーが別々の研究をしているからこそ、鍛えられる部分ではあると思うんだけど。。。

 

・・・と愚痴をこぼしていると学生達がどんどん悲しくなるので少しプラスのことも書いておきますか。

輪読会で「動物生態学」と「保全生物学のすすめ」を完読したのは良かったですね。特に「保全生物学のすすめ」で最後のまとめとして行ったグループ発表会が楽しかった。学生達にグループワークの方法を決めさせて、発表内容も任せたけど、非常にオリジナリティが高く、素晴らしいまとめ方をしたグループがいました。やればできるじゃん、って。

あとは最近始めた「論文・申請書書きセミナー」はかなりの可能性を感じます。メンバーが現在書いている論文や申請書のレビュー(ほぼ吊るし上げ、たまに褒める)を有志で行っています。みんな時間をかけて真剣に取り組んでいるので、Critical thinkingやLogical thinkning がかなり鍛えられるように感じています。時間をかければみんなしっかりとクリティカルなコメントも出来るし、面白いアイデアも出してくれます。少し労力はかかるけど今年のゼミはこれを中心にやってもいいかな、と。

 

7.国際化・・・70点

なかなかいいですね。Chrisに加えて新しくJasonが入ってきたので英語を喋る機会が増えました。特に、一緒にフィールドに行っていた学生はこの1年でかなり英語が上達したと思います。最近は週1回の English cafe も行っています。海外からの留学希望者も増えているので、ゆくゆくは全て英語で議論できる位になればいいですね。

 

8.その他

その他で大きかったのは、やっぱり新HPかな?見た目が格段に良くなり、おかげで研究室見学者も増えました。去年は30人ほど研究室訪問に来てくれました。HPの中でも一番人気はブログです。これは私もとても興味深く読ませて貰っています。学生達の普段は見えないような一面が見えたり、テーマも多様で面白いです。ほんと個性が表れてて良いですね!

 

総括

、、、と、長々と2015年を振り返ってきましたが、実は、個人的に一番の成果は仕事と家庭の両立でした。共働きなので育児と仕事の両立はほんと大変でしたが、何とかこなすことができました。睡眠時間は子供が産まれる前と比べて2-3時間は短くなったと思います。でも、正確にいうと、子供がいるから頑張れたんだと思います。頑張らなきゃ、と思う気持ちと、子供の癒しパワーは半端じゃありません。

 

今のデスクワーク中心で運動しない、睡眠時間の短い生活は明らかに不健康だと思います。今まで風邪とかほとんどひかなかったのに、ここ2-3年は年に数回は体調を崩しています。年齢のせいもありますが貧弱になりました。

これは改善したいと思っていますが、研究者の厳しい世界の中ではなかなか。。。ですね。。。どんな職業でも同じだと思いますが世知辛い世の中ですもんね~ (^^;) 少なくてもあと2-3年はこんな感じで頑張らないと。一区切りしたらもう少し余裕があって心身ともに健康的な生活に戻りたいな~。

 

去年の反省だけでとても長くなってしまいました。なので、もうひとつのテーマはシンプルに!

 

2016年の目標

1.原著論文:15本アクセプト、4-5本は専門分野のトップジャーナル。卒業生達の研究を論文化。

チャレンジングですが、去年できなかった分を取り返す。目標は高くないと。後は不良債権の返済。

2.大きめの研究費申請:去年のリベンジ!

3.骨プロジェクト:本格始動。新しい解析を進める(研究費来い!)

4.研究室メンバーのレベルアップ:今年はちょっと期待できるかな?

 

ということで、今年もよろしくお願いします!

 

小泉研代表