カラ類の繁殖生態③ ゴジュウカラ

乃美です。

例によって繁殖生態3種目です。

とはいえ、このままヤマガラ→ヒガラのストレートな流れでいくのも面白くないので変化球攻勢でゴジュウカラからいくことにします。

ゴジュウカラの繁殖は一味違います。

まず、他のカラと違い巣材にコケを用いません。代わりに木の皮を使います。

 

P1000060

 

特にツタウルシの皮ははがれやすく、よく使われるように思います。

まあ、そもそもゴジュウカラはシジュウカラ科ではないので巣材が違って当たり前といえば当たり前かもしれませんが、他にもコケを使う種は多くいるのを考えるとやはり面白いですね。

P1000234

通常卵は雌親が隠すので巣材をよけてから数えるんですが、ゴジュウカラの場合はかき分けてもズルズルと落ちていくので数えにくいです。卵数は8個前後です。

P1000891

3週間ほどしてようやく孵化。シジュウカラ科と比べると2,3日長いです。

P1050197

 

別の巣ですが7日目。

P1010392

11日目。気のせいか右上の個体は妙に口が大きく見えますね。

他のカラもそうですが口の黄色は暗い巣の中でも親が口を認識しやすくするためだと言われています。

P1010492

13日目。あまり変化ないかな。

P1010784

一気にとんで20日目。これはやばいですね~。

ゴジュウカラが9羽も巣箱でひしめき合うの光景はまず見れないでしょう。国内初記録かも。ブログで出して良かったのか?

P1010848

結局2日後にはすべて巣立ちました。ゴジュウカラは育雛期間も長いですね。

9羽のゴジュウカラが巣立った2012年はシジュウカラでも13羽巣立たせた巣があるなど、豊作の年でした。おそらく餌である昆虫の数など年による変動を受けるのでしょう。

一般的に高緯度になるほど卵数や雛数が多くなることが知られていますが、過去の文献をあたってみると日本のカラ類も例外ではないようです。緯度と年の両方の効果が、このような数をたたきだしたのかもしれません。9羽の雛をこの先みる機会があるかどうか、楽しみですね。

一応本業がシジュウカラなので残念ながら他のカラはじっくり観察できてませんが、ゴジュウカラももっと観察すれば面白い生態がわかるかもしれません。

それでは来月もお楽しみに。