キーワード
系統地理、進化的歴史、分布拡大、地理的分断、氷河期、レフュージア、進化的に重要な単位、亜種
対象生物
ニホンザリガニ、アメマス(エゾイワナ)、オショロコマ、アマガエル、エゾビル、ザリガニミミズ、フクロウ
野生生物のDNAには何十万年、何百万年という歴史の爪痕が残っています。例えば、日本唯一の在来ザリガニであるニホンザリガニは、遺伝的に大きく異なる2グループに分かれ、道東グループは比較的最近一気に分布拡大したことが明らかとなりました。一方、残りのグループは札幌近辺を祖先とし、氷期‐間氷期のサイクルに一致するかのように、南北に同じペースでゆっくりと分布を広げてきました。こういったパターンから当時の地史や古気候を推測することもできます。今、絶滅が危惧されている日本唯一の在来ザリガニは、日本の過去を記憶している貴重な生き証人ともいえます。このようにDNA解析から過去を調べる学問を系統地理学といいますが、フィールドワークでは知ることのできない生物の一面を明らかにすることができます。
ニホンザリガニでの研究例はこちらから(研究紹介)