♪そこーに行けばーー どんーーな夢もーー かーなーうと いーうよーー
だーれもみなーー ゆーきーーたがーるがーーー はーるかな 世界―
そのー国の名は ガンダーラ
何処かに ある ユートピア
お久しぶりです。D2になりました、三枝です。今回はBehaviour 2025という国際動物行動学会に参加してきましたので、その報告をします。
この学会は何が何でも参加したい学会でした。それは2年前にドイツで開催された際、千春の兄貴とLeaの姉御が参加していたから。彼らと同じ景色を見たい、たとえお金がなくとも。
会場までの道のり
新千歳から飛び立ち、まずは微笑みの国・タイへ。道中の機内食には、なんと、苫小牧銘菓「よいとまけ」が。苫小牧に縁がある者としては嬉しいですね。甘酸っぱいハスカップのジャムが疲れた体に沁みわたってゆきました。
バンコクで十数時間のトランジットを経て、遂に天竺へ。その昔、陸路や海路でインドを目指した人たちの苦労が偲ばれます。深夜の到着だったので大都市・コルカタも、熱帯の湿度を残して、眠っていました。
エキゾチックな鳥の声と共に朝を迎えると、辺りにはヤシのような植物が目につきます。風景はパダンにも少し似ているかも。初日から発表でした。宿のトラブル等々いろいろあり、最後の練習時間はありませんでした。許さん、ア〇ダ。チェックイン早々に、会場を目指します。そして気を落ち着かせるために、ZARDとSARDの曲を聴く。
初日から発表
今回はヤツメウナギのスニーカー戦術について口頭発表をしました。思ったより会場が大きくて、ビビる。練習はたくさんしたけど、生来、本番に弱いもので。ビビる。なんとなく、声が引きつった気がする。とにかく、必死でやっていて、細かい部分はあまり覚えていません。ただ、たくさんの質問をもらいました。全てが聞き取れて、理解できたわけではないけれど。何はともあれ、興味を持って聞いてもらえたようで、一安心です。発表が終わった後も話かけてくれた人もいて、感謝しかないです。論文になるのを楽しみにしている、とわざわざ声をかけてくれた人もいました。もっと、ちゃんと話せたら良かったな。。。
ふとした瞬間 視線がぶつかる
会場の建物は複雑でした。あるエレベーターを使うと目的のフロアにたどり着けなかったりするので、最後の日まで迷いました。でもエレベーターの待ち時間で、ちょっと隣になった人と話ができて良かったです。「どこの会場に行くつもり?」「面白い発表あった?」こんな他愛のない会話でも、為になることがあったり、元気をもらえたり。学会の魅力の1つなんじゃないかと思います。
素敵なサイエンス・アート
会場にはサイエンス・アート作品が展示されていました。その極彩色とインド的な表現技法と、魂のこもった動物たち。思わず、目を奪われました。インド版ティンガ・ティンガとも呼べるかもしれません。いや、それ以上かもしれません。そこには、単に動物だけが描かれているのではなく、彼らが直面する開発や密猟、交通事故などの軋轢も描かれているのですから。アートと生態学と、民族の融合。こんな絵が描きたい。
動物行動学会について、考える
動物行動学はよくオワコンと言われます。確かに学問的な発展は、他の分野較べると今後あまりないかもしれません。そして市民生活に重大な革新をもたらすものではありません。しかし、動物が何をしているのか、が気になってしまうのは人の性でしょうか。
古代イスラエル王国のソロモン王は動物の言葉が分かる指輪を持っていたと言います。動物が何をしているのか、動物の(あるいは他人の?)心を理解したい。という素朴な問い・願いは古今東西、変わらないのでしょう。そして行動学も続いていくはずです。
口頭発表とポスター発表の両方を合わせても動物の認知機能やコミュニケーションについての研究が多くあった印象です。やはり、この学問において、これらのテーマがホットというか、みんな気になっているところなのだろうと思います。
また、最新の機器の発達で調べられるようになったことがたくさんあるんだなぁと感じました。例えば2㎞のフライングケージにコウモリを飛ばせて、脳の細胞の動きを見る研究など機器の発達に驚愕するような研究もありました。その一方で、一般的なスピーカーを用いたプレイバック実験で鳥の言葉や虫の求愛行動パターンを明らかにした興味深い研究もありました。これらは機器ではなくてアイデアと実験方法でより一層輝きを放っているのだろうと思います。このような技術発展+人の智恵と共に、今後、動物行動学をどんな景色にしていけるのでしょうか。
異邦人。
学会のエクスカーションでは街歩きに参加しました。街はドゥルガー・プージャのお祭りの準備で賑わいをみせていました。工房ではお祭りに飾る女神ドゥルガーの像が作られていました。ところせましと並ぶ小さな店たち。バイクに巻き上げられた土埃。街角のドゥルガーやシヴァを祀る廟(※この地域はシヴァよりもドゥルガーが重要な神のようです)。
腕が10本ある女神「ドゥルガ」の粘土でできた像。装飾を施して祀った後、ガンジス川へ流すそう。
突然のスコール。雄大で悠久のガンジス川。市井の雑踏。異国ならではの非日常でした。
しかしながら、そこには、しっかりと現地の人々の暮らしがあるのです。人生で1回くらい、人はマイナーな存在になってみるべきです。言葉も、常識も通じない場所で、恐ろしいほどの孤独と疎外と異質性を感じたなら、他人にすこしはやさしくなれると思うのです。
市井の暮らし。置いて行かれると、帰ってこれない気がする。。。
ユートピアと、
なんだかんだで。あっという間のBehaviourでした。でも、動物行動学にみっちり触れることができた濃密な日々でした。
ちょっとした生活のアドバイス(例えば、クレジットカードが飲まれる危険性があるのでATMを使うな)をくれたりとか、拙い英語でも真剣に聞いて議論してくれたりとか、学会に参加されてる方は素晴らしかったです。また空港の兵士も銃を持っていて怖かったけど、Wi-Fiを貸してくれたり、親切に話を聞いてくれたりとか、とても紳士でした。
会場の周辺はきれいでした。歩行者者信号が無いのは驚きだけど。
インド有数の都市であるコルカタは、超構造ビルが乱立し、舗装された道路が続き、大学や政府関連施設も集まっています。だからこそ、彼の地での1週間ほどの滞在は予想以上に素晴らしいものでした。その一方で、ちょっと外れれば、襤褸をまとった人、栄養失調で腹の膨らんだ人、物乞いの子供、スラム街。。。空港までのタクシーの車窓は、そういった、影も、映しながら過ぎていくのでした。
愛(と混沌)の国、ガンダーラ。
人のやさしさ、温かさを感じると共に、醜さや愚かさも味わいました。
そして、行くだけでは夢はかないません。行って、足掻いて、悩んで、経験したユートピアなのでした。
※ちなみにガンダーラ地方はインド北西部およびパキスタンで、会場の西ベンガル州(インド東部)からはだいぶ離れています。三蔵法師のモデル・玄奘はガンダーラ地方を通過したものの、彼の最終目的地はガンジス川中流域にあるナーランダ僧院なので、このブログのタイトルには不適ですね。(笑)



懇親会の様子。各国の民族衣装も集まり集まります。
ガンジス川。河口は幾つものデルタで枝分かれする。
パネルの前で記念撮影。みんな、ステキな時間をありがとう!!
