気になる新ジャーナル、Zoological Letters

ここ数年、毎日のように新しいジャーナル(専門誌)の発刊紹介や投稿依頼がきます。大部分が自分の専門分野外で、怪しいオープンアクセスジャーナルなのでほぼ読まずにゴミ箱行きです。

そんな中、ちょっと気になるジャーナルが。。。

少し見てみると、なんと日本動物学会が新しく創刊したジャーナルでZoological Scienceの姉妹誌ではないですか(その名もZoological Letters。Letterと聞くと速報のイメージがありますが総説論文も掲載しています)。そしてBioMed Centralと提携してるとか。

さらに興味をもって調べてみると日本の優秀な動物学者(と関連分野の人達)が世界に通用する専門誌を本気で作ろうとしてるようです。気鋭の若手研究者から実績のある大御所まで気合いの入ったEditor陣で構成されており、現在出版されている論文は彼らが積極的に関わっているようです。どれも相当にレベルが高く、スタートダッシュを決めてこのまま波に乗ろう、という感じですね。当面のImpact factorは3以上を目標にしているようです。

http://www.zoology.or.jp/news/index.asp?patten_cd=12&page_no=482

この記事のなかで面白かったのが「じゃ、Zoological Scienceとの差別化は?」に対する答えでした。Zoological Lettersはいわゆる新しい研究、流行りの研究で、世の中の研究者ニーズを捉えたもの。一方で、Zoological Scienceは特に目新しいわけではなくても重要な研究。(意訳なので間違っていたらごめんなさい。気になる人はご自分で上のリンクを確認ください)

新しく人目を惹く研究は、少ないデータ量で多くのことを言う傾向があり、実際にその成果がどれだけ真実を反映しているのか疑問なことも多々あります。一方、そのように提唱された理論を丁寧に何度も何度も検証するような研究は二番煎じ、目新しさがない、と過小評価されることがあります。しかし、このように地道に真実を追究する研究ってやっぱり重要ですよね。

Zoological Scienceではそういった地味だけど綿密な研究、徹底的な記載論文、マイナーな分類群に関する報告なども掲載するということです。実はこういった研究からとても貴重な発見がなされるのかもしれません。Zoological Lettersができることにより、Zoological ScienceではImpact factorを気にせずに研究者の興味や好奇心に基づいた基礎的・地道な研究を掲載しやすくなることも期待されるようです。

私達の「釣り人の逸話を検証」した論文がZoological Scienceの論文賞を受賞して正直驚きましたが、このようなEditor陣が評価してくれたのは改めて光栄に思います。2チャンネルでは「小学生の自由研究みたいだな」とのお言葉を頂きましたが(笑)、そのような純粋な好奇心で行った部分を評価して頂いたのでしょうか。

長くなってしまいましたが、日本人としてZoological Lettersを応援したいと思います。

いつか投稿できるように!

I.K.