学生達との論文がアクセプト!

前回報告した金澤さんの修士研究の調査時に、たまたま取れたデータが論文になりました。

Koizumi I., Tanaka Y, and Kanazawa Y (2017) Mass immigration of juvenile fishes into a small, once-dried tributary demonstrates the importance of remnant tributaries as wintering habitats. Ichthyological Research, 64, 353-356

winter migration in a once dried tributary

一度干上がった支流に大量の魚達が!越冬移動の良い証拠!

 

ある夏に調査地のひとつの小支流に行くと何と川が完全に干上がっていました。前の冬にはニジマスが大量に遡上してきていた場所だったので驚きました。水が戻った秋口に調査してもほとんど魚が捕れませんでした。しかし、初冬に再度調査したら大量のフクドジョウ、ウグイ、ニジマスが!

これは興味深いと思い、定量的に調査して個体数を推定すると何と10,000匹!川幅4m、流呈1kmほどの小さな支流にこんなに大量の魚がわずか4ヶ月で集まってきたのです。

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喜ぶゆっきー

ウグイとニジマスは幼魚が多く、越冬場所としてこの小さい支流を使っていたと考えられます。一方、フクドジョウは親魚サイズも見られました。ウグイとニジマスは遊泳力があるので本流から移動してきても不思議はありませんが、底性魚で移動性が低いと思われたフクドジョウがこんなに移動してきたのは驚きました。

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ウグイの幼魚でーす

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底生性のフクドジョウまでいっぱい遡上してきていました

水産重要種で人気の高いサケ科魚類以外では冬場の生態はあまり研究されていません。今回、たまたま支流が夏枯れしていたために、ウグイとフクドジョウの越冬移動を明らかにすることができました。かなり人の手が入った小さな支流でさえ、幾つかの魚類にとっては重要な越冬場所になっているのかも知れません。人の目から見てどうでもいいような場所も野生生物にとっては貴重かもしれない、という良い例ですね。

 

それにしても数日の調査で論文になるというコストパフォーマンスの高い研究でした(笑)