シマフクロウ・タンチョウの研究をプレスリリース!

高知大学の比嘉さん、森林総研の山浦さん、北大農学院の先崎君、シマフクロウ研究者の竹中さん、タンチョウ保護研究グループの正富さんと百瀬さんとの共同研究をプレスリリースしました!

論文はこちら

Scale dependency of two endangered charismatic species as biodiversity surrogates. 

北大プレスリリース

シマフクロウとタンチョウを守ることで他の鳥類も守られるーアンブレラ種としての価値を市民科学で実証ー

シマフクロウ

シマフクロウとタンチョウを保全することが他の鳥類の保全にも繋がることを示した研究です。両種がこのような“アンブレラ種”であることは当たり前のように言われてきましたが、それを示すにはしっかりとしたデータが必要なため、これまで科学的根拠がありませんでした。本研究は膨大なデータを解析し、シマフクロウやタンチョウが営巣している生息地は、営巣してない生息地に比べて一般鳥類の多様性が1.1-1.7倍であることを明らかにしました。このような定量的な評価は、2種の絶滅危惧種だけでなく、鳥類全般の幅広い保護管理政策にも有用であると考えられます。

本研究では、シマフクロウおよびタンチョウの研究者が20年以上にわたり蓄積してきたデータに加え、一般市民(おもに日本野鳥の会)が記録してきた膨大なデータベースを活用しました。一般市民が取ったデータは信頼性や観察地域に大きなバラツキがあるという問題がありましたが、これは最新のベイズ統計学を用いることにより克服しました(Higa et al. 2015)。つまり、本研究は、シマフクロウ・タンチョウの専門家、統計の専門家、鳥好きな一般市民、の力が合わさって初めて達成された力作です。

なお、本研究は環境省の環境研究総合推進費の採択事業(4D-1201)「シマフクロウ・タンチョウを指標とした生物多様性保全」(代表:中村太士)の成果の一部です。