昨年3月まで環境科学院で学振PDをしていた立木君(現在九州大学)との共同研究がAmerican Naturalist誌にアクセプトされました。サクラマスをモデルにして、地位依存選択における意思決定を理論的に解析したものです。といっても、何のことか分からないと思うので出版されたらPICK-UPで。
Tachiki Y. and Koizumi I (2016) Absolute vs. relative assessments of individual status in status-dependent strategies under stochastic environments. The American Naturalist, 188, 113-123
Am Nat は大学院時代からの憧れのJournalでした。主に数理モデルを用いた理論的な研究を扱っており、古典的テーマを新しい視点から見直すような研究が多い印象です。ディープな研究が多く読むのがヘビーですが、読み終えた後の充実感は一番でした(ちょっと賢くなったと勘違いさせてくれる)
憧れの理由その1。大学院時代に図書館まで文献コピーしに行った時、1800年代のAm Natの論文を見つけたこと。NatureやScienceよりも創刊が古く(わずかですが)、こんなに昔からこのような科学の取り組みがなされていたことに驚きました(当時は何も知らなかったもので。。。)。100年以上昔に出版された重みのある雑誌を手にした時の感動は忘れられません。今では電子ジャーナルが普及しているのでこのような感動は味わえなくなっているかもしれませんね。初心に戻ってたまには図書館に行くのも重要かも。憧れの理由その2は、理論研究が中心なので自分1人ではどう頑張っても手が届かないことです(笑)。
今回、研究の核となる解析は全て立木君にお任せしてしまいましたが、研究のアイデアや論文作成などは少しは貢献できたかと思います。二人で論文を推敲しながら何度も何度も「この研究マジで面白いよな(面白いっすよね!)」って言いあっていました。私自身初の理論研究でしたが、フィールド屋の視点も入り、実際に野外で実証可能な理論になっています。現在、この理論を検証するための飼育実験も行っており、いい予備結果が得られています。今後の発展性も大きく、ほんと大満足の論文に仕上がりました。
それにしても今回の研究は最初から最後までホント勉強になりました。普段から学生達には「お前らは理論的な考え方が全く出来ていない?なんでそんなロジックになるの?」と偉そうに言っていますが、立木君と話すると自分の思考が如何にアマいかを痛感しました。。。(^^;) でも毎回毎回のとことん議論は本当に楽しかったです。レフェリーという強大な敵を如何にやっつけるか(おそらく一方的な)心理戦も考慮しながら戦っていました。途中何度も暴言を吐きまくりましたが、イヤなくらいDeepなコメントをくれたレフリーやエディターにはとても感謝しています。
ちなみに、本日は立木君が日本生態学会鈴木賞(若手奨励賞)で受賞講演をするおめでたい日です。しかも、Journal of Ecoloy の2015年のHarper Prizeも受賞しています (@_@) 仕事も早いし、ほんとスゴイ!!!
本日、一緒に祝杯をあげたかったのですが、叶わなかったので本投稿によるささやかなお祝いに変えさせて頂きます。
今度札幌来たら飲み明かしましょう!
おめでとう & ありがとう!
小泉