山崎研究室 (Yamazaki Lab)

合成生物学 (Synthetic Biology) の研究室です。

研究方針

研究におけるキーパーフォーマンス如何なる遺伝子でも設計することができます。

人類にとっての研究の意味

質の高い脳ほど、好奇心旺盛です。その脳がこの世に生まれた時代における文明の発展段階によって興味の対象は異なるでしょうが、きっとそれぞれの段階に応じて、あることに興味を持ち、それらの中で「特に好奇心旺盛で謎めいたものの実態を明らかにしたいという衝動に駆られたもの」の中には、ある程度の解明に成功したものもあるでしょう。脳を研究に駆り立てるのは「もっとよく知りたいという衝動」だろうと思います。こうした衝動によって突き動かされ、さらに知るための努力を続けることにより、ある場合にはその努力が徒労に終わるかもしれませんが、場合によってはその努力が稔り、理解がある程度進み、集団の中で知識として蓄えられてきました。蓄えられた知識の利用が、場合によっては人類を不幸にする場合もあるかもしれませんが、多くの知識は人類の知的欲求を満たすだけでなく、人類の福祉に貢献しうる大切なものとして利用され続けてきました。こうして、研究という「知識を生産する仕事」は、人類の新しい未来を切り開き、人類を幸福へと導く重要な仕事として認められてきたのです。

理想とする研究者

こうした優れた脳を持つ研究者の中に、我々生物学者誰もが尊敬しているのは、「進化論」を唱えたダーウィンと「遺伝の法則」を明らかにしたメンデルがいます。その中でも1809年に生まれ、2009年に生誕200周年を迎えたダーウィンは私の最も尊敬する生物学者です。この200周年を機に、私が20歳の時に読んでもよく理解できなかった「種の起源」を、53歳になってもう一度読み返し、その凄さを再認識しました。また、経歴もユニークで、エジンバラ大学やケンブリッジ大学などの名門校で勉強したにもかかわらず、大学で研究者となることもなく、生涯を通じてきわめて自由な立場で、ほとんど独学で研究に打ち込み、たった一人で「進化論」を打ち立てたのです。そんな彼に対して「ダーウィン以前にも進化論的なことを主張した人はおり、ダーウィンだけが偉いわけではない」と、低く評価する人もいます。確かにダーウィン自身も「種の起源」の中で、ゲーテや古くはアリストテレスも進化論に類することは述べていると書いていますが、生涯をかけて探究し続けその正しさを証明するために膨大な量の観察結果を例に挙げて主張できたのはダーウィンだけだったのです。

理想とする研究スタイル

私の理想とする研究は、進化論ほどではないにせよ「人々の記憶に残る研究」です。そのような研究に共通することは、まず、第一にそれらが「一般人にとっては奇想天外なアイデアを基調としている」ことです。未知の大きな問題解決のためには、現時点で多くの科学者が思いつくことのできるアイデアでは歯が立たないのです。第二に大切だと思うことは愚直な努力を継続することです。いくらアイデアが良くても毎日一生懸命努力することの出来ない人には、幸運の女神は微笑んでくれないのです。そして、第三に得られる結論は単純明快であればあるほど良い。分かりにくい結論と言うのは、結局のところチャンと解明されていない部分を多く残しているのです。最後に大切なのはちゃんと発表することです(できれば印象的に)。どんなに価値ある研究でも、受け止める人々の記憶に残らなければ、存在しなかったのと同じでしょう。