2.環境汚染化学物質(内分泌撹乱因子を含む)のバイオレメディエーションの構築


 近年、内分泌撹乱化学物質をはじめとする環境汚染化学物質により世代を超えた影響を与える恐れがあることが考えられている。その汚染は、大気、河川、海洋、土壌のみならず、そこに棲む動植物を通じて、食品中にまで広がっている。多くの環境汚染化学物質はその化学的構造上、脂溶性であるため食物連鎖の過程で濃縮が進みやすく、魚介類、肉・卵類には比較的高濃度に蓄積することが予想されている。このことから胎児や乳幼児への安全性を確保する観点から、汚染化学物質の生態系への汚染状況を詳細に把握し、環境中濃度の低減を図ることが重要な課題とされている。現状では、これら70種に及ぶ環境ホルモンの定量は、GC-MS等の大型機器を必要としかつ煩雑な前処理を必要とするため、十分な環境検体をスクリーニングすることは不可能であった。本研究では、多量検体を迅速かつ正確に測定する系の開発を行うことをまず最初の目的とし、この目的のために、汚染化学物質感受性の細胞株を樹立し、この細胞株を利用したレポーター遺伝子アッセイシステムを構築する研究開発を行なっている。本測定システムを利用することにより、汚染化学物質を分解することが可能な細菌類や菌体酵素を迅速にスクリーニングすることができる。さらにスクリーニングの後、汚染化学物質分解の可能性のある酵素の遺伝子のクローニングと塩基配列の決定を行い、その人工発現系を構築し、効率の良いバイオレメディエーション系構築を目指すものである。

現在までに民間会社との協力体制のもとダイオキシン類測定系開発を進め実用化段階に達している。また、分解系構築のために酵素遺伝子のスクリーニングを研究補助の小森さんおよび前任の三浦さんの協力のもとに進めている。


o ホームページにもどる