11月15日 講座ゼミ

発表者: 三木田

タイトル: A multi-species comparison of selective placement patterns of ramets in invasive alien and native clonal plants to light, soil nutrient and water heterogeneity.
著者: Chen, Duo; Ali, Ashfaq; Yong, Xiao-Hui; et al.
雑誌: SCIENCE OF THE TOTAL ENVIRONMENT Volume: 657 Pages: 1568-1577 Published: MAR 20 2019
要旨: 侵略的外来植物で、影響力の大きいものの多くは、クローン能力を持ちます。 クローナル植物は、ラメットを選択的に配置すること(採餌行動)により、より好条件の微生育地に多くのラメットを置くことができます。これにより、不均一な環境下で、資源を最大限に活用し、リスクを分散することができます。しかし、侵略的外来クローナル植物と在来クローナル植物で、ラメットの選択的配置パターンに違いがあるのか否かについては、まだほとんど知られていません。そこでこの研究では、中国で自然に共存する、侵略的外来クローナル植物と在来クローナル植物の5つの同属ペアを使用し、上述の問いに答えようとしています。

発表者: 成瀬

タイトル: Geographic hot spots of dingo genetic ancestry in southeastern Australia despite hybridisation with domestic dogs.
著者: Cairns, Kylie M.; Nesbitt, Bradley J.; Laffan, Shawn W.; et al.
雑誌: Conservation Genetics
DOI: https://link.springer.com/article/10.1007/s10592-019-01230-z
要旨: オーストラリアにはディンゴというイヌ科で古くに分岐した種が生息しています。近年はイヌとの交雑が進んだことによるディンゴへの遺伝子浸透が報告されており、保護をより徹底すべきという声も多数上がっています。しかし法律により純血のディンゴしか保全されないため、より正確な遺伝子情報を解明することが急務となっています。本論文は、オーストラリア南東部New South Walesにおけるディンゴへの遺伝子浸透の程度の解明と、ディンゴの遺伝子割合の多い地域を特定することを目的として研究・考察を行っています。

11月1日の講座ゼミ

発表者: 都築

タイトル: Contemporary pollen flow as a multiscale process: Evidence from the insect-pollinated herb, Pulsatilla vulgaris.
著者: DiLeo, MF; Holderegger, R; Wagner, HH
雑誌: JOURNAL OF ECOLOGY Volume: 106 Issue: 6 Pages: 2242-2255 DOI:10.1111/1365-2745.12992 (2018)
  https://besjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/1365-2745.12992
要旨: 遺伝子流動は、分断された植物集団の集団維持に寄与する、重要な現象です。 これまで「地理的に離れれば離れるほど遺伝子流動は起こりにくくなる」(distance decay)という考えが一般的でした。 しかし近年の研究で、遠距離の遺伝子流動が頻繁に観察されるなど、distance decayに当てはまらない例が多く出ています。 そこでこの研究では、「遠距離の遺伝子流動」と「近距離の遺伝子流動」の生起メカニズムの違いを、植物の花粉分散を対象にして調べています。

発表者: 李

タイトル: Ancient DNA from Giant Panda (Ailuropoda melanoleuca) of South-Western China Reveals Genetic Diversity Loss during the Holocene.
著者: Sheng, Gui-Lian; Barlow, Axel; Cooper, Alan; et al.
雑誌: GENES Volume: 9 Issue: 4 (2018)
要旨: 更新世中期から後期までに、ジャイアントパンダは中国や東南アジアに広く分布しました。そして、完新世からジャイアントパンダの生息地は急激的に縮小しました。先行研究では、現存ジャイアントパンダの遺伝的多様性はかなり高いと示唆しています。しかし、化石データ解析の欠失により、生息地が縮小した前の遺伝的多様性は推測できませんでした。そこで本研究では、化石データを使い、ジャイアントパンダの遺伝的多様性の損失を検討しました。さらに、人間活動と環境変動の影響に伴う集団動態とそのメカニズムを議論しました。

10月25日の講座ゼミ

発表者: 角井

論文タイトル: Tracing the evolutionary history of the mole, Talpa europaea, through mitocondrial DNA phylogeography and species distribution modelling.
著者: Roberto Feuda, Anna A. Bannikova, Elena D. Zemlemerova, Mirko Di Febbaro, Anna Loy, Rainer Hutterer, Gaetano Aloise, Alexander E. Zykov, Flavia Annesi and Paolo Colangelo
雑誌: BIOLOGICAL JOURNAL OF THE LINNEAN SOCIETY, Volume: 114, Issue: 3, Pages: 495-512, DOI: 10.1111/bij.12459
更新世の気候変動はヨーロッパの生物相に多大な影響を与えました。氷期には北部を永久凍土が覆い、生物の多くは refugiaと呼ばれる安全地帯に退避します。本論文では更新世の気候変動が及ぼした影響について、ヨーロッパモグラの系統地理的解析から考察しています。同様の研究では初めて地下性哺乳類に着目した例です。

発表者: 中田

タイトル: Large-scale environmental niche variation between clonal and non-clonal plant species: Roles of clonal growth organs and ecoregions.
著者: Wan J.Z., Wang C.J., Yu F.H.
雑誌: Sci Total Environ, 652, 1071-1076 (2019)
クローナル植物は遺伝的に同一な子孫を生成し、様々な生息地を支配することで知られています。 クローナル植物と非クローナル植物の間の進化上の相違は生態学的研究において興味深い分野です。多くの研究では、大規模な植物種群の進化メカニズムは環境的ニッチ(environmental niche)理論によって説明できるとされています。しかし、クローナル植物種と非クローナル植物種との間の大規模な環境的ニッチの相違を調査した研究はほとんどありません。本論文では、主成分分析を用いて、87のクローナル植物種と50の非クローナル植物種を含む13属137種の環境的ニッチを定量化し、両者の相違を評価しました。

2019/10/31のセミナーのお知らせ(早川研)

2019/10/31(木)15:00~16:00に京都大のLee Wanyiさんをお招きしてセミナーを行います。ご参加歓迎ですので、ご興味のある方はぜひお問い合わせください。(https://noah.ees.hokudai.ac.jp/hayakawa/index.html)

【話題提供】
Lee Wanyi(京都大・霊長類研究所博士課程)

【タイトル】
Gut microbiota composition of Japanese macaques associates with extent of human encroachment

【要旨】
Humans have become unavoidable part of most environments inhabited by wild animals nowadays. Noting the role of the gut microbiome in host, it is essential to understand how human-wildlife interactions and availability of anthropogenic food in habitats can affect an animal’s gut microbiome. This study therefore set out to examine the gut microbiota of Japanese macaques (Macaca fuscata) with varying accessibility to anthropogenic food and the possibility of using gut microbiota as indicator for macaques’ reliance on anthropogenic food. Using 16S rRNA gene sequencing, we described the microbial composition of Japanese macaques experiencing different types of human disturbance– captive, provisioned, crop-raiding and wild. We found gut microbiome composition sorted by level of anthropogenic food reliance of the macaques, reflecting macaques’ diet and associated functional need in different situations. We also identified potential bacterial taxa at different taxonomic ranks whose abundance potentially could help in assessing macaques’ accessibility to anthropogenic food. This study provided possible indices based on the gut microbiome profile in assessing macaques’ accessibility to/reliance on anthropogenic foods.

2019/10/11のセミナーのお知らせ(早川研)

2019/10/11(金)16:00~17:00に京都大の林美紗さんをお招きしてセミナーを行います。ご参加歓迎ですので、ご興味のある方はぜひお問い合わせください。(https://noah.ees.hokudai.ac.jp/hayakawa/index.html)

【話題提供】
林美紗(京都大・霊長類研究所D2)

【タイトル】
霊長類の消化管における味覚関連分子の発現について

【要旨】
味覚受容体を含む味覚関連分子は消化管にも発現している。消化管の味覚関連分子は腸管上皮細胞に発現し、ホルモン分泌や免疫応答に働く。我々は以前、小型霊長類コモンマーモセットの下部消化管で味覚関連分子のGustducinが多いことを報告した。下部消化管のGustducinはどのような働きを持つのか明らかにするために、Gustducinといくつかの腸管上皮細胞マーカーを用いて、免疫組織化学染色を行い、マーモセットの下部消化管におけるGustducinの発現パターンをマカク類と比較した。これらの結果から見えてきた霊長類の下部消化管におけるGustducinの働きや特徴について紹介する。

2019/9/18のセミナー案内(早川研)

2019/9/18(水)10:00~11:00に岐阜大の星野智さんをお招きしてセミナーを行います。ご参加歓迎ですので、ご興味のある方はぜひお問い合わせください。(https://noah.ees.hokudai.ac.jp/hayakawa/index.html

【話題提供】星野智(岐阜大・連合農学研究科D1)

【タイトル】
コロブス亜科を対象とした消化生理学的研究 ~域外保全の推進を目指して~

【要旨】
動物園動物の栄養管理においては、野生種の食性(あるいは栄養バランス)を再現し、消化生理を考慮した給餌が望ましい。しかしながら、葉食で複胃をもつコロブス亜科においては、消化能力や消化管の機能に関する知見は僅かである。今回のセミナーでは、動物園が抱える栄養学的問題へのアプローチの一つとして、自身の研究結果をもとにコロブス亜科の餌となる樹葉の栄養学的特徴と(化学的)消化に関する知見を紹介する。
※コロブス亜科:霊長目オナガザル科の一グループ

2019年前期発表会

  • 吉田磨仁 Cellular function of LC-PUFAs in anaerobic bacteria
pDHA3とpDHA4

大原研究室

  • 内田葉子 花食者の食害に対する宿主植物の種子生産に関する研究 ~ゴマシジミとナガボノシロワレモコウの関係~
  • 都築洋一 オオバナノエンレイソウ個体群の存続可能性に関する生態遺伝学的評価
  • 高橋空 雌雄異株植物コウライテンナンショウの繁殖戦略
  • 宮本実穂 外来植物の侵入・定着における生態学的研究
  • 中田百音 生育型の異なるイチヤクソウ属植物(Pyrola)の繁殖様式の比較研究
  • 芳賀奨平 一回繁殖型多年生植物オオウバユリの開花臨界サイズの集団間変異

鈴木研究室

  • 成瀬未帆 国内外来種ニホンテンの分布拡大が北海道クロテンに及ぼす影響の把握
  • 李 玥 ユーラシア産ハツカネズミに関する系統地理学分析:移動ルートと移動時期の解明
  • 吉川愛莉 ダンゴムシ類の遺伝的構造における第四紀の環境変動による影響の比較
  • 張替若菜 北日本産ヒメフナムシ類のミトコンドリアDNA進化速度の検討
  • 柳瀬拓郎 佐渡海峡における氷期の影響
  • 北山遼 南米産クモザル類の系統学的位置付け
  • 角井建 地下性哺乳類モグラ類の毛色変異の進化的動態の把握

越川研究室

  • 福冨雄一 ミズタマショウジョウバエの翅の模様形成を遺伝子ネットワーク、パターン形成機構の観点から理解する
  • 丹伊田拓磨 ミズタマショウジョウバエの水玉模様が求愛に及ぼす影響
  • 矢野根智広 ショウジョウバエ胸部の模様形成と筋付着の関係
  • 山本渉 ゲノム編集を用いたミズタマショウジョウバエの模様形成に関わる遺伝子の解析
  • 古関将斗 ミズタマショウジョウバエの神経組織におけるwingless発現細胞の特定
  • 齊藤奈美歩 ミズタマショウジョウバエの翅におけるwinglessの水玉状発現を駆動するエンハンサーの絞り込み

7月12日のセミナー

大原研B4の芳賀です。

7月12日の講座ゼミでは以下の論文を紹介させていただきます
Transcriptome analysis of bolting in A. tequilana reveals roles for florigen, MADS, and gibberellins
journal of BMC Genomics 2019 20:473
開花メカニズムに関する研究は一年草や多年生多回繁殖型多年生植物では進められてきましたが一回繁殖型多年生植物では進んでいませんでした。
今回の論文ではA.tequilanaを用いて開花のきっかけになる形態学形質および生化学的因子を同定することによって商業生産および基礎研究を促進することを目標にしています。

越川研B4の古関です。

7月12日の講座ゼミでは、以下の論文をご紹介させていただきます。
Sanjay Basnet and Shripat T. Kamble
RNA Interference of the Muscle Actin Gene in Bed Bugs: Exploring Injection
Versus Topical Application for dsRNA Delivery
Journal of Insect Science, (2018) 18(3): 5; 1–5
近年、RNA干渉(RNAi)を用いた害虫の駆除に対する研究が注目されており、効率的・機能的なRNAiの方法が模索されてきました。
今回の論文では、世界中で増加している害虫トコジラミ(bed bug)におけるmuscle actinへのRNAiを対象にして、dsRNAの投与方法を実験的に検討しています。

6月21日のセミナー

大原研D2の内田です。

次回の講座ゼミは、生物間相互作用をテーマに行います。
生物は異なる生物と互いに関わり合いながら生存します。生物間で互いに助け合ったり(=相利共生:正の効果)、競い合ったり(=競争、寄生、捕食など:負の効果)する関係は、状況によっては全く逆の効果をもたらす場合があります。そのような少し変わった種間関係を扱った3本の論文を中心に紹介します。よろしくお願いいたします。

  1. Parasitoids Turn Herbivores into Mutualists in a Nursery System Involving Active Pollination
     Carlos Eduardo Pereira Nunes, Pietro Kiyoshi Maruyama, Marianne Azevedo-Silva & Marlies Sazima
     Current Biology (2018) 28, 980?986e3
  2. My plant, my rules: bodyguard ants of plants with extrafloral nectaries affect patterns of pollinator visits but not pollination success
     Anna Thiciane F Santos & Laura C Leal
    Biological Journal of the Linnean Society (2019) 126, 158?167
  3. Honeybees disrupt the structure and functionality of plant-pollinator networks
     Alfredo Valido, María C. Rodríguez-Rodríguez & Pedro Jordano
     Scientific Reports (2019) 9: 4711, 1-11  

越川研D2の福冨です。

今回の講座ゼミでは、「いい研究テーマ、いい実験」とは一体何なのかということについて、以下の3報の論文を題材にして自分の見解を交えながら議論したいと思います。紹介するデータとしては主に以下の3番の論文がメインになりますのでよろしくお願いいたします。

  1. optix drives the repeated convergent evolution of butterfly wing pattern mimicry.
    Reed RD, Papa R, Martin A, Hines HM, Counterman BA, Pardo-Diaz C, Jiggins CD, Chamberlain NL, Kronforst MR, Chen R, Halder G, Nijhout HF, McMillan WO.
    Science. 2011 Aug 26;333(6046):1137-41. doi: 10.1126/science.1208227.
  2. Complex modular architecture around a simple toolkit of wing pattern genes.
    Van Belleghem SM, Rastas P, Papanicolaou A, Martin SH, Arias CF, Supple MA, Hanly JJ,
    Mallet J, Lewis JJ, Hines HM, Ruiz M, Salazar C, Linares M, Moreira GRP, Jiggins CD,
    Counterman BA, McMillan WO, Papa R.
    Nat Ecol Evol. 2017;1(3):52. doi: 10.1038/s41559-016-0052.
  3. Single master regulatory gene coordinates the evolution and development of butterfly color and iridescence.
    Zhang L, Mazo-Vargas A, Reed RD.
    Proc Natl Acad Sci USA. 2017 Oct 3;114(40):10707-10712. doi: 10.1073/pnas.1709058114.