植物生態学コース

現在、自然生態系の機能は人間の土地利用や活動によって著しく損なわれており、大気の二酸化炭素濃度の上昇や気候温暖化は、陸域生態系に直接・間接的に重大な影響を及ぼしています。植物生態学コースでは植物生態・生理学(群集・個体群・個体・個葉レベル・器官レベル)、数理生態学、進化生態学、並びに生態系保全に関する研究と教育を行います。野外における調査研究、圃場、バイオトロンや実験室での実験、得られた情報の解析、理論モデルの構築・解析などを通して、様々な角度から生態系機能の解明を探っています。担当スタッフは、低温科学研究所グループ(主担当)と地球環境科学研究院グループ(副担当)に所属しており、大学院生には、基礎生態学の講義、野外実習、実験、各種セミナーを通じて、体系的な学習ができるようにカリキュラムが組まれています。
(植物生態学コースは、多様性生物学コースと令和5年4月より統合される予定です。)

低温科学研究所グループ(主担当:小野清美)
温室やバイオトロンでの栽培実験、北方林樹木の環境ストレスに対する応答の生理・生化学的解析を行っています。特に気温の季節変動や光環境の変化に対して、寒冷圏に生育する植物はどのような光合成機能の応答を示すのかに着目した研究を進めています。また、生育環境に応じた、植物の窒素・炭素利用について、落葉樹・常緑樹を研究対象として、葉の老化や葉寿命という観点から研究を行っています。
低温科学研究所グループ:http://www.lowtem.hokudai.ac.jp/plantadapt
地球環境科学研究院グループ(副担当:相場慎一郎、工藤岳、久保拓弥)
樹形の生理生態的形成過程、森林における多様な樹種の共存機構、植物の繁殖生態学、環境適応と形質進化、統計デルを用いた生態現象の記述と解析などを行っています。苫小牧、阿寒、知床、屋久島には原生林の長期モニタリングサイトを有しており、森林動態の観測を行っています。また、大雪山では高山生態系の長期モニタリングを行っており、積雪環境の変化に対する高山植物の適応様式や気候変動に対する生態系応答の研究を行っています。熱帯多雨林からツンドラにいたる様々な植生帯を研究対象にしています。
地球環境科学研究院グループ:https://noah.ees.hokudai.ac.jp/biodiversity/index.html


多様なフィールド:
天塩研究林、苫小牧研究林、阿寒摩周国立公園、知床原生自然保全地域、屋久島などをフィールドとした森林動態や森林植物の生活史に関する研究、大雪山国立公園における高山植物の繁殖生態と山岳生態系の気候変動に対する応答に関する研究、ボルネオ島キナバル山の熱帯山地林における群集・生態系過程の研究を進めています。